売上管理表からタスク管理表、組織図、日報、損益計算書まで、なんにでも使えるExcelは本当に便利なソフトだ。でも、ちょっと待って! あなたのその業務、ホントにExcelを使うのがベストなのだろうか?
いったん定着した習慣というのは、つい、そのまま疑問を持たずに続けてしまいがちだ。仕事においても、もっと効率のいいやり方があるのに、そうとは気づかず上司や先輩から教えられたやり方を続けてしまうケースが少なくない。
業務現場の作業でいえば、Excelがその代表格だろう。なんでもできる優秀なソフトであるがゆえに、つい、どんな業務も“Excelでやればいい”と思いがちだが、たくさんのデータをまとめるような業務では、実はほかの手段を使った方がラクなことも多い。
いったい業務現場のどんな作業が“脱Excel”でラクになるのか――。本記事では、データベースソフトを使って試してみた。今回使ったのは、比較的安価に導入でき、無料アプリを通じて容易にiPhoneやiPadにも展開できる「FileMaker Pro」。同ソフトにプリセットされる16の業務ソリューションの中から、住所録と商品カタログ、見積書を使って“脱Excel”を試みた。
“データベース”と聞くと、とてもハードルが高いことのように思えて身構えてしまう人もいるかもしれないが、そんなことはない。ようは「情報を一元管理する」ということだ。
たいていの仕事には複数のスタッフが関わっていて、それぞれが仕事を通じてさまざな情報を集めてくる。そうして得られたデータは貴重な資産であり、スタッフ個人のPCやスマートフォンに収めて、一人だけで使うというのではあまりにもったいない。そこで登場するのがデータベースだ。
情報を1カ所に集約し、だれもがその情報を使えるようにすれば、情報共有のムダを省ける。データベース上に情報を記録しておけば、いちいち会議を開いて社内で話をすり合わせずに済むこともあるはずだ。こうした“小さなムダ”をなくして本業に専念すれば、残業を減らしたり、顧客満足度の向上につながる施策を考えたりする時間ができる。会社にとっても、例えば社員が突然辞めてしまった場合でも顧客情報を失わずにすむというメリットがある。
それではいったい、Excelで管理しているどんな情報がデータベース管理に向いているのか。代表的なのが住所録だ。住所録は、営業なら取引先、経理なら仕入先や支払先、総務なら社員名簿といった形で、社内のどんな業務でもほぼ例外なく利用する。これをExcelで管理する場合、多くの場合、共有フォルダにファイルを置き、LAN経由で社内からアクセスする方法をとるはずだ。ただ、Excelの住所録は、閲覧する際に1画面に全項目が収まらずにスクロールする必要があるなど、使いづらい面もある。
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