飲み会での「話し方」「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方

飲み会では、リラックスした雰囲気のなかで互いをよく知り合うことが大事です。仕事に直接関係はなくとも、どんなことができるのかを理解し合いましょう。今回は「簡潔さばかり求められているわけではない場面」での話し方について紹介します。

» 2014年05月22日 11時00分 公開
[金子敦子,Business Media 誠]

集中連載「「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方」について

本連載は、金子敦子著、書籍『「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 「そんなつもりじゃないのに……」
 「なんで、分かってくれないの!」
 「聞いてないよ、って言われても」

一生懸命話しているのに思った通りに伝わらない、話しているうちに伝えるべきことが分からなくなる……。こう感じたことがある人は少なくないのではないでしょうか。

本書では、「打ち合わせ」や「会議」「プレゼン」など、さまざまな場面におけるコミュニケーションのポイントを紹介。仕事で必要な「本当に使えるコミュニケーション能力」を身につけるコツをやさしくまとめました。

 ・伝わらないほうがあたりまえ
 ・表現だけでなく、中身も大事
 ・打ち合わせのゴールは、「誰が」「いつまでに」「何をするのか」
 ・プレゼンのゴールは、聞き手の成果につながること
 ・飲み会は「楽しむのが目的の会議」

「誤解なく、確実に自分の言いたいことを伝える力」が身につく1冊です。


「飲み会」での話し方

 飲み会も人が集まる場ですから、主な要素は、基本的には打ち合わせや会議と同じ、「情報共有」「議論」「意思決定」です。ただし、打ち合わせや会議と異なるのは、楽しむことが重視され、短期的な成果を求めすぎないところです。

 リラックスした雰囲気のなかで、楽しく、お互いをよく知り合うことを目指します。飲み会のよさは余裕をもって語り合える点にあります。打ち合わせでは、どうしてもすぐに成果の出る話が優先されますから、「いつかはこうしたい」というような話はしづらいことが多いでしょう。

 飲み会では、それぞれが長期的に何を求め、今の仕事に直接関係はなくとも、お互いどんなことができるのかを理解し合いましょう。

 飲み会やパーティーなど、社内や社外の人との交流の場は、長期的な成果に向けた種まきのよい機会です。

 自分と何かしら目的を共有している人がいたら、何気ない体験談からアイデアのヒントが得られたり、もしかすると何か実際に一緒に仕事をしたりすることにつながるかもしれません。

 飲み会の場で自分をアピールする際は、「できること」「提供したいこと」を伝えます。ただし、強引な売り込みや、無理押しをしたりすると、よい関係は築きにくくなります。もし「企画関連の仕事をやりたい」と売り込んで、運よく仕事をまかせてもらったとしても、いざやってみてよい企画が出せなければ、信用を失ってしまいます。

 飲み会は、「楽しむことが目的の会議」と考えるとよいでしょう。テレビドラマなどの飲み会の場面で、「今夜は無礼講だから」などというセリフを聞くこともありますが、その言葉を真に受けてはいけません。あなたの失礼な発言を、相手が都合よく忘れてくれるとはかぎりません。話の内容は、職場で話しても問題ないものにします。

 また、上司や先輩におごってもらった場合は、その場だけでなく、翌日にあらためて直接「昨日はありがとうございます」とお礼を伝えましょう。これは社会人としてのマナーです。

 自分の職種やポジションによって、飲み会に求めるものも変わるでしょう。私は20代だったコンサルタント時代の飲み会は、プロジェクトの参加者とのものが主でした。ここでは、できるだけ長い時間一緒にいて、仲よくなることが目的でした。

 30代のアナリスト時代の飲み会は、投資家とのものが主でした。これはリラックスした打ち合わせのようなもので、通常の打ち合わせと同様の話に加えて、背景的な情報交換をし、自分のことを覚えてもらえるように努めました。

 40代になった今の飲み会は、「人との出会いを楽しむ」ものです。飲み会で、自分が提供できるものも年代ごとにまた変わってきます。私自身、20代は何も持っていなかったので、提供できるものといったら、笑顔と努力でした。

 30代は、自分が持っている知識や情報が商品でしたから、ともかく、役立ちそうな情報を提供したり、投資家のニーズをつかんだりすることに努めました。

 40代になって、ある程度仕事の組み立て方に裁量が出てくると、自分が関わっている仕事について紹介し、相手の仕事について聞きながら、一緒に働いてくれそうな人とのつながりを求めるようになりました。

 ふだんから、自分の今の仕事だけではなく、仕事以外の生活や過去の経験までふくめた少し広い範囲で見て、「何を提供できるのか」「何を提供したいのか」を考えておきましょう。

今回のポイント

楽しみながら、価値のある情報を交換していこう


(次回は「ランチでの話し方」について)

著者プロフィール:

金子敦子(かねこ・あつこ)

東京大学文学部卒業。英国インペリアル・カレッジ・ビジネススクール(MBA)修了。

アクセンチュア(コンサルタント・マネージャー)勤務、MBA留学を経て、UBS証券株式調査部(アナリスト・ディレクター)として業績予想および投資判断リポートの作成、国内外機関投資家へのプレゼンテーション業務を行う。

その後、武蔵野大学グローバル・コミュニケーション学部(専任講師)においてビジネス・コミュニケーションをはじめ、ビジネス英語、財務諸表分析・企業分析を担当。


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