EvernoteはWeb時代の「発見の手帳」に必要な条件をほぼ満たしています。文字や写真、音声などを組み合わせて保存し、それを後から編集することも可能です。
本連載は堀正岳、まつもとあつし著、書籍『知的生産の技術とセンス 〜知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術〜』(マイナビ新書)から一部抜粋、編集しています。
私たちは、かつてなかったほどさまざまな「情報」に囲まれ、日常的な仕事や生活で「知的生産」を行っています。
しかし、私たちが日々生み出している情報は、こういった環境の進化に追いついているでしょうか? 道具や環境が整った今だからこそ「知的生産」のための技術について、あるいは「知的生産」とはそもそもどういうものなのか、その源流をたどる必要が高まっています。
本書では、元祖ライフハックと言っていい、知の巨人・梅棹忠夫氏が提唱した「知的生産の技術」を、できる限り生かせるように再解釈し、周囲にある道具や環境に適用できるようアップデートを試みました。
さあ、「知的生産」という人生の武器を手に入れましょう。
収集した情報をすべて利用しやすくするために、最低限の構造を与える記録の仕方はあるのでしょうか? つまり現在における「発見の手帳」に対応する仕組みとして何を使えばよいのでしょう?
そこで提案したいのが、Evernoteを「発見の手帳」とすることです。
EvernoteはPC上、そしてスマートフォンやタブレットなど、さまざまな環境から利用することができるクラウド上のメモツールです。クラウド上ということは、ここに蓄積される情報はどこか特定のPCや携帯端末内に存在するのではなく、Evernoteのサーバー上に存在しているということを意味しています。
例えば前回のように、ミネラルウォーターのラベルにふと違和感を覚えた私が、それをスマートフォンで写真に撮影してEvernoteに送信したとしましょう。送信された情報は、クラウド上のEvernoteに蓄積され、同じ情報はPCにもタブレットにも同期されます。
これは先ほどの、ノートブックや情報カードなど、記録するツールを常に持ち歩くという考え方から一歩進んでいます。
情報カードに発見を記録しても、そのカードを片付けたり忘れてしまっては、その情報は引き出せません。Evernoteの情報がすべての端末に同期されるということは「記録するもの」を持ち歩くのではなく、今目の前にあるツールから常に同じ場所に発見を蓄積できるということなのです。情報が手元を離れ、クラウド上に蓄積されるのです。
EvernoteはWeb時代の「発見の手帳」に必要な条件をほぼ満たしています。文字や写真、音声、動画を含むファイル類のマルチメディアを組み合わせて保存でき、それを後から編集することも可能です。主要なWebブラウザにはEvernoteにWebサイトをクリッピングするための拡張機能がありますので、興味のあるWebページを、その全体、あるいは一部分だけ切り取って保存することもできます。
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