『経営に終わりはない』――なぜホンダは世界企業になったか:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
本田技研工業の経営責任者は藤沢武夫であった。世界企業となったホンダの経営を藤沢が語ったのが『経営に終わりはない』。バラバラだったホンダを同じ夢に向かって切磋琢磨する“道場”のような会社にした。
本田技研工業創業者の本田宗一郎は技術責任者であり、経営の責任者は藤沢武夫であった。ホンダが世界有数の企業になった経営面でのポイントを藤沢が語ったのが『経営に終わりはない』である。規格外の成果をあげる方法がまとめてある。
一体感と変化
藤沢武夫は徹底的に社内外を一体化させる。ばらばらの目的を持つ寄せ集め集団ではなく、同じ夢を目指して切磋琢磨する“道場”のような会社にした。通常対立する労働組合からも、会社の成長と従業員の安定を強く託されていた。銀行とも絆(きずな)があったから、異常なほどの設備投資も断行できた。
本田宗一郎のビジョンを実現させるために、一体感に加えて藤沢は会社を変化させ続けた。できる限り組織図は作らなかったし、作る際も壊すことを前提とした。会社をリードできるよう技術者にもお金の流れを教えた。そして本田と同時に一線を退いて経営を後進に託した。
成果の土台をつくる
藤沢の経営は、社内でのプロジェクト立案や、起業する時にも参考になる。社内外の関係者と信頼関係を深めて同志となり、しかし同時にやり方は変化させ続ける。こうした土台の上で、高いビジョンを求めるのである。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは? - 1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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