2011年版「超」整理手帳のポイントは? iPad版も開発中、Googleカレンダーと連係:手帳2010
熱狂的なファンが多い「超」整理手帳。今回は発売したばかりの2011年版を見ていこう。講談社によると今年はGoogleカレンダーと連係するiPad版も開発中だという。
あまたある手帳の中にあって「超」整理手帳には熱狂的なファンが多い。9月16日に販売を開始した2011年版を紹介しよう。
品名 | 価格 |
---|---|
スタンダード ベーシックサイズ 黒/オレンジ/クリア | 1700 円 |
スタンダード ベーシックサイズ 週間スケジュールシート(※1) | 1300 円 |
バーティカル ベーシックサイズ 黒/クリア | 1800 円 |
バーティカル ベーシックサイズ スケジュールシート(※1) | 1400 円 |
方眼 ベーシックサイズ 黒 | 1800 円 |
方眼 ベーシックサイズ スケジュールシート(※1) | 1400 円 |
エレファント スタンダード A5サイズ 黒 | 2400 円 |
エレファント スタンダード A5サイズ クリア | 2400 円 |
※1はいずれもスケジュールシート単体 |
2011年版の「超」整理手帳はより実用的な方向に進化した。3つの大きなポイントを押さえておきたい。
- スタンダード ベーシックサイズでは、布のような質感のカバーを樹脂素材で実現。
- A5サイズを含むクリアカバーの収納力を強化
- スケジュールシートのバリエーションを増加
まず(1)のカバーについてだ。従来の「超」整理手帳では、基本セットである「スタンダード ベーシックサイズ」のカバーは非常に簡便なものだった。マットな黒で多少のモールドはあるものの、それ自体として質感を追求した印象はなかった。それは、ユーザーが革メーカーオリジナルの「超」整理手帳用カバーを購入することになり、サードパーティーによる皮革カバーのバリエーションが増えることにもつながった。ただ標準のままで使っていると不満を覚えたのも事実だ。
カバーは、ある時期には色バリエーションの展開という方向を探ったこともあった。ただ、「超」整理手帳のユーザーの6割は男性。派手な色を数種類そろえ、あたかも虹のようなカラバリは、旧来からのユーザーにはアピールできず、新しい利用者層の開拓にもつながらなかったようだ。質感が向上した今回のカバーは、こういった今までの経緯も踏まえて開発したという。
ちなみに「スタンダード」の2011年度版の色バリエーションは、黒に加え、オレンジ、そして後述するクリアの全部で3色だ。
次に(2)のクリアカバーの収納力である。クリアカバーに厚みのある素材を採用し、ポケットにはファスナーを付けた。このことで、カバー内部に筆記具や印刷物、プリントした写真などを入れられるようになっている。
「超」整理手帳は、今までもカンガルーフォルダーという形で収納力を重視してきた。それはA4版プリントのためだったが、今回のクリアタイプのカバーによって、システム手帳の収納力に近づいたと言える。収納力が増しただけでなく、クリアな素材ならではの、外側から見えると便利な物が入るようになった点が新しい。この種のカバーがこれから流行するかもしれない。
なお、A5版ではカバーの内側に“カンガルーファイル”と呼ばれるクリアフォルダーが増設された。これでカバーとしてのしっかり感を出すと同時に書類の収納力が強化された。
最後の(3)はスケジュールシートのバリエーション。これは2009年からの流れだ。2010年版ではバーティカルタイプのスケジュールシートが登場。2011年版では、従来からのデザイン、バーティカルタイプに加え、「方眼 ベーシックサイズスケジュールシート」が登場した。これは1週間を縦方向に、週の並びを横方向に配置した従来のシートの方眼タイプだ。
バーティカルタイプにもバリエーションが登場した。鞄や革小物の人気ブランド「ポスタルコ」デザインのシートは、日付が横方向に、週の並びが縦方向になるバーティカルタイプながら、従来の「超」整理手帳とは方向性の異なる、スタイリッシュなデザインだ。フォントもレイアウトもすっきりしている。
このほか、「超」整理手帳エレファントA5用の方眼スケジュールシートも登場(関連サイト「ノグラボ」で提供)している。
品名 | 価格 |
---|---|
Weekly Calendar(ポスタルコデザイン「超」整理手帳 バーティカル)(※1) | 1806 円 |
方眼 A5サイズ スケジュールシート(※1) | 1500 円 |
方眼 A7サイズ スケジュールシート(※1) | 1200 円 |
※1はいずれもスケジュールシート単体 |
CGM的に成長する手帳
上記のように、「超」整理手帳は、色バリなどの実験をしつつ、ユーザーの支持を集めるアイテムを拡充する方向で進化してきた。いわばCGM的に成長する製品なのだ。
発売当時の1990年代後半からユーザーコミュニティーがあり、オフラインパーティー(今で言うオフ会)の歴史も長い。発売元がアスキーから講談社に変わってもユーザーの根強い支持は変わらない。
その歴史の中には常にユーザーからの提案があった。例えば手帳本体のセットには含まれないが、「超」整理手帳のオンラインストアでは、セキスイのフィルム付せんの扱いが始まっている。付せんと言えば住友スリーエムのものが有名である。そしてセキスイのフィルム付せんは、フィルムタイプのものとしてはトップクラスの薄さを誇り、それ故に透明度も高い。これもユーザーが紹介し、使い勝手を検証して販売するようになったという。
また、iPad用アプリケーションも登場予定だ。これはiPadの広い画面を生かしつつ、「超」整理手帳の一覧性をアプリケーション上で実現する新しい試みだという。Googleカレンダーとの連係やデジタルなツールならではの記入欄など紙のツールでは実現不可能な機能を実装しているという。こちらも楽しみだ。
2011年版では、スケジュールシートのバリエーションや標準カバーの質感改善など、製品バリエーションが実質的な方向に進化した。2011年版のバリエーションの増加は、「超」整理手帳という製品に、さまざまな期待を寄せるユーザーの要望にあわせた形での進化だと言えそうだ。
著者紹介 舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)
アスキー勤務を経て独立。手帳やPCに関する豊富な知識を生かし、執筆・講演活動を行う。手帳オフ会や「手帳の学校」も主宰。主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)など。
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