テレプレゼンスを体験、65インチ液晶3枚よりリアル音声マイクに驚く
テレプレゼンス製品を提供するポリコムが、社内に本格仕様のデモルームを開設した。この度プレス向けに初公開したので参加してきた。
テレプレゼンスというジャンルの製品をご存じだろうか。テレビ会議、Web会議などと同様に、遠隔にいる人と会議ができる仕組みを提供するシステムだ。必要な機材とインターネット環境さえあれば会議ができるため、海外へ行く出張費を節約できるなどのメリットがある。
ビデオ会議、Web会議との違いは、より対面に近い臨場感を実現すること。大画面かつ高画質な液晶や高品質の音響を用いて、対面式のより自然に近い形の会議ができる点が特徴だ。
デメリットは、テレプレゼンス専用の会議室を構築する必要があるため、他の会議システムと比較してそれなりの設備投資が発生する。 従って、中堅・中小企業よりもどちらかといえば海外に複数拠点を持つような大規模企業向けのソリューションといえるだろう。ただし最近では、中堅・中小企業を対象にした比較的安価な製品も出ているので、ビデオ会議やWeb会議とともに、企業規模に関係なく遠隔会議を検討する全ての企業の選択範囲に入るかもしれない。
テレプレゼンス製品を提供するポリコムによると、テレプレゼンスは海外、特にインドや中国などの海外拠点を多く持つ企業を中心に導入が進んでいるようだ。日本では、海外に本社を持つ企業が日本支社にも導入するというように、海外主導で話が進むケースが多いという。ポリコムのほか、Cisco SystemsやIBM、タンバーグなども同様のソリューションを提供している。
天井にマイクを置くとどうなる?
ポリコムの日本支社では2011年10月にテレプレゼンスソリューションのデモルームを開設したというので、そのお披露目会に参加してきた。普段はユーザー企業に対して公開しているもので、記者のようなプレス関係者にとっては初めてのデモンストレーションだ。
今回お邪魔したのは、テレプレゼンスソリューション「Polycom OTX(Open Telepresense Experience) 300」のデモルーム。部屋に入ると、まず65インチ大画面液晶3枚が目に入る。
座席は液晶に対面する形で6つ用意されており、最大で6人対6人の会議が可能だ。音声は天井に設置している3つのマイクロフォンが拾っている。ポールでぶら下がっており一見照明器具(点照明のように見えたのでLED)かとも思ったが、会議室全体の音声を拾う高感度のシーリング(天井)マイクだという。このマイクが収集した相手先の音声が、前面にある液晶から出力される。
一般的なビデオ会議の場合は卓上にマイクを置いて使うのが標準的だが、テレプレゼンスではマイクを気にせずに会話ができる自然体を生み出すために天井に設置している。音を拾うという観点からいうと、発言者よりも下にマイクロフォンがある方がよく音を拾うのだが、そうすると卓上の資料をめくる音なども拾ってしまい、参加者は無意識のうちにマイクを意識してしまう。その点を取り除くためにも、シーリングマイクを採用しているのだという。
液晶の大きさよりも音声のリアル感に驚き
今回は実際に同社の海外支社とのビジネス会議の様子を体験させてもらった。会議は2パターン行い、1つ目は中国(2人)と。2つ目は中国(2人)、韓国(1人)、シンガポール(1人)との会議だった。日本側は6人が参加した。
実際にデモンストレーションに参加しての印象は、会議室中央にいるとモニター左側の人の声は少し遠くに聞こえたりと、確かに臨場感があった。また、テレプレゼンスはビデオ会議のようにカメラの位置を調整するなどの手間がないため、コントローラーや共有ファイルを操作する人以外は座っているだけで液晶越しに遠隔会議ができる手軽さを感じた。
一方で、大画面の液晶で迫力はあるが、先方の発言者と完全に目を合わすことが難しかったりと、実際の会議のように完全な対面とまではいかなかった。しかしビデオ会議などと比べると遠隔にいる人とここまで身近な形で会議ができる点は、テレプレゼンスの魅力だといえるだろう。
なお今回デモルームに使われたPolycom OTX 300は2010年7月に提供を開始したテレプレゼンスソリューションで、価格はオープン。参考値として、Polycom OTX 300と同シリーズで2〜4人用の「Polycom OTX 100」が800万円台から。Polycom OTXシリーズは、フルHD(1080p)の映像をサポートしている点や、卓上モニターに表示するHDコンテンツをリアルタイムに共有できる点が特徴。国際標準規格「H.264ハイプロファイル」に準拠しており、使用帯域幅とコストを最大で50%削減するという(同社従来製品比較)。
Polycom OTXシリーズは、同社が提供するテレプレゼンスソリューションの中でも初期のコスト面で導入のハードルが低いシリーズに位置付けられる。同社では今後このデモルームの紹介などを通じて、より多くの日本企業にもテレプレゼンスソリューションを活用してもらえればとしている。
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