ちょっと幸せになれるスマホアプリを考えてみた:アイデア発想実践記(2/2 ページ)
今回のアイデア思考法はデザイナーの今泉浩晃さんが開発したマンダラート法。いつもの3人で「ちょっと幸せになれるスマホアプリ」を考えてみました。
ということで、あらためてテーマはこちら。今回のテーマ「ちょっと幸せになれるスマートフォンアプリを考える」です。
以下、各ステップを事実と心の動きを、客観的に淡々と描写してみます。
10分間でいくつのアイデアが出せるか
まず用紙の真ん中にテーマを書き入れ、制限時間を10分間としてヨーイドン。全員にとってスマホが身近なせいなのか、よどみなく全員のペンが走り出します。これは面白いアイデアが生まれそうで、期待が持てます。全員が1枚目を早々にクリアし、2枚目に深掘りしていきました。
しかし、数分経過したところで、私と上口さんがペースダウン。いくらでもアイデアが思い付きそうなのに、うまく文字化できないというか、もどかしい気分になってきました。何もない白紙から強制的にアイデアを生み出していくわけなので、ヒントをくれるSCAMPER法やTRIZ法などのようにはいかないです。
アイデアを捨てるか、アイデアを育てるか
10分後、アイデアを発表してみたら、やり方が大きく2つに分かれました。上口さん(と私)は、ひとマスひとマスでアイデアを完結するやり方です。具体的なアプリの機能を1つのマスに書き、隣のマスに別の仕様を書く――多様なアイデアは生まれるのですが、そこで止まってしまって発展性がない。
片や鷹木さんは、全方向にアイデアを拡散していきます。例えば「ちょっと幸せ」からスキー、家族、焼肉、ラーメン、おいしいお酒、カレー、野球観戦……といった具合で、具体的なアプリに行き着く前の段階で、「ちょっとした幸せって何だろう?」と延々と自問自答している感じです。よって、アプリとして成立したアイデアの数は少ないですが、より深く深く掘り下げた先でアイデアを結実させようしていた様子でした。
私と上口さんが「出したアイデアをもれなく育てようとする」スタイルなのに対し、鷹木さんは「アイデアを吐き出しては捨てながら、ゴールに突き進んでいく」スタイルだといえるでしょう。マンダラート法として、どちらが良い(or悪い)のかはっきりしませんが、性格の違いがクッキリと現れるものだなあと感心しました。
「幸せ」から連想するアプリアイデアは?
集計後に、持ち回りでアイデアを発表していきました。以下、全員のメモを公開してみます。
おししいお酒 | 野球観戦 | カレー |
---|---|---|
スキー | ちょっとした幸せ | ラーメン |
家族 | 臨時収入 | 焼肉 |
真ん中が今回のテーマです。この1枚だけではスマホアプリにまではまだ届いていません。このあと、「スキー>信越、東北、ナイター、温泉、朝一番、上達、雪がフカフカ、こぶ」とか「野球観戦>投手戦、サヨナラ、クライマックスシリーズ、すごいスキル、ホームラン、奪三振、打撃戦、知っている選手が活躍」と数珠つなぎのようにアイデアをふくらませていました。
どうやら鷹木さんにとっての幸せは、「食べ物」と「スポーツ」の2つが重要な位置を占めるようです(笑)
世の中の幸せツイート、今日のハッピーツイート集 | 自分の家計をポップに見せてくれる | 離れた家族のペットの様子が分かる |
---|---|---|
走るコースを選んでくれる | ちょっと幸せになるアプリ | 見たい映像を出してくれる |
今の気分から旅行コースを作ってくれる | 端末を使うほどお金がもらえる(ポイントカードみたいな) | あの時の写真、思い出・気を使って出してくれる |
上口さんは「幸せって何だろう」とはあまり自問せず、いきなり具体的なアプリの機能を書き連ねはじめました。ツールもお題も同じなのに、鷹木さんとはまったく異なる発想法です。これも個性ですね。8つのアイデアを出したところで、下記のように1つをチョイスし、深掘りしていきました。
「見たい映像を出してくれる>子供の記録をアルバム化、過去のドラマ履歴から次のオススメを教えてくれる、今日のうちのワンコ、VHSのホームビデオを見れるように、海の中や富士山の様子とその日の天気の関係、自分の街でF1シミュレーション、食べ物ができるまで、大豆枝豆豆もやし(※子供のころ好きだった本のタイトル)」
信号の青を予想してくれる学習機能付きアプリ | 少しづつ料理がうまくなるよう、作る料理を提案してくれる | 毎日音が変わるアラーム |
---|---|---|
子供の顔を予想してくれる(未婚のカップル用) | ちょっと幸せになれるスマホアプリ | プレゼンを点数で判定してくれる |
Radikoを自動でダウンロードしてくれる |
私の1枚目は、8個埋められませんでした。時間がもったいないので、残り2枠を埋めるのはあきらめ、既に書いたアイデアを掘り下げて行きました。時間に追われていると、何もアウトプットせずにウンウンうなるのがものすごくムダな行為のように感じられてしまうのです(笑)。
この後は各自の発表に入っていきます。全員が苦しみながら出したアイデアの質と内容は? それぞれの評価は? さらにはどんな広がりを見せるのか? ベストアイデアに選ばれるのはどれか? 詳しくは後編に続きます。
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