「この仕事ヤダ」――不本意をチャンスにする方法とは?:明日の私を強くするビジネス元気ワード(2/2 ページ)
人材教育コンサルタント会社に入社して3年目の私。先日希望と違う部署に異動になり、周囲や仕事とうまくかみ合わず悩み気味です。そんなとき、ある先輩に言われた一言にはっとしました。
「計画された偶発性理論」とは?
私 聞いたことあるような気がします……。
先輩 知らないことを知らないって言えるのは、あなたの良いところだったのに、それもできないくらい自信がなくなっちゃったの? まあ、それはまた今後でいいか。偶発性理論って言うのは、「個人のキャリアの8割は、偶然のことで決まる。だからその偶然降ってきた仕事やチャンス、出会いに対して計画的に取り組み、自分のキャリアを良いものにしていこう」という考え方のことなんだよ。
私 じゃ、仕事にどう取り組むかで自分のキャリアが決まるってことですか?
先輩 そう。例えば今度魅力的なプロジェクトが立ち上がる時、上司が誰をアサインするか悩んでいたとしようか。言われた仕事をただこなしている部下と、限られた中でも創意工夫しながら楽しんで結果出している部下となら、どちらをアサインしようと思うだろうね。
私 そりゃ後者だと思います。
先輩 そうだよね。だとするとその部下は、自分の行動がチャンスを引き寄せた、ということがいえるよね。で、もう1つ覚えておいて欲しいのは、仕事におけるそもそも事の発端は「8割は偶然」だということなの。
私 きっかけは、たまたま、ということですか?
先輩 そう。最初から自分の思い描いていた理想のキャリアを真っすぐに登れる人なんて、ほんと少数派だよ。多かれ少なかれ、みんな紆余曲折があるわけ。
例えば第1人者と呼ばれている人たちだって、初めは違う分野で仕事をしていることが多いんだよ。それで、たまたま自分や誰もやったことのない仕事がきて、そんなに興味も無いけれど必死でなんとかこなしているうちに、そこで出した結果が認められて、次の仕事がきて……、いつの間にかその分野の有識者になることは珍しくはないよ。これは人との出会いも同じことが言えるよね。たまたま出会った人とどのようにかかわるかで今後に生かせたり生かせなかったりするからね。
私 なるほど……。じゃあ今配属された部署は、私にとっては不本意な偶然だけど、ここで何かをいろいろ積み上げることで、この後が変わっていくんですね。
先輩 まあ、そういうこと。
私 でも、もう配属されて3カ月たっちゃって……。今から頑張っても遅くないですかね。
先輩 何かやってみることに、遅いってことはないよね。
と言って先輩はコーヒーを飲みました。
今からでも遅くない。では、明日からどう行動すればよいのでしょうか。私は、机の上のカップを見つめながら考えました。
今日の元気ワード:計画された偶発性理論を活用しよう
「計画された偶発性理論」(Planned Happenstance Theory)とは、米スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論です。この理論を実践するときのポイントは、以下の行動指針にのっとることです。
- 好奇心:絶えず新しい学習の機会を模索し続けること
- 持続性:失敗に屈せず、努力し続けること
- 楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
- 柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
- 冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
※この記事は、誠ブログの明日の私を強くするビジネス元気ワード:「この仕事ヤダ」不本意をチャンスにする方法とは?より転載、編集しています。
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