21世紀の新しい働き方、保険について考えよう:ライフネット生命岩瀬社長×クラウドワークス吉田代表対談
ワークスタイルが多様化する中、時代に最適化したサービスが登場している。ライフネット生命とクラウドワークス、保険会社とクラウドソーシング事業を営む同社が考えるこれからの新しい働き方とは?
働き方が多様化し、クラウドソーシングをはじめとした新サービスの拡充がめざましい昨今。フリーランスで働く身からしても、非常に興味深い。そんな中、2013年10月に『21世紀の新しい働き方、保険について考えよう』と題して、ライフネット生命の岩瀬大輔社長とクラウドワークスの吉田浩一郎社長による対談イベントが行われた。
ライフネット生命、クラウドワークスの各社紹介からスタートした本イベントは、経営者からの紹介ということもあり、表面的には見えない各社の本質が垣間見えた。
まずは各社の取り組みから紹介しよう。
契約件数が19万件を突破したライフネット生命。利便性を追求する同社は、一般的な生命保険に加入している私からすると「なるほど」と頷いてしまう内容が満載だ。一般的に保険対象となった際、保険会社へ連絡してからお金を受け取れるまでの期間は43日。さらに約5000円の費用を掛けて、診断書の取得が必要となる。ライフネット生命はこれを診断書不要、受取までは連絡から23日への早期化を実現している。
クラウドワークスは、「21世紀の新しいワークスタイルを提供する」というミッションを基に、インターネット環境さえあれば場所や時間を問わずに仕事を受発注できるクラウドソーシング事業を実現している。吉田社長は具体的施策やサービスを開始するに至った背景について、「大企業が個人を活用し始めた」と、昨今見られる大きな変化について説明する。
大企業では社内ルールなども厳しく、個人への業務発注は難しかった。実際にクラウドワークスのWebサイトを見てみると、誰もが知る大企業の名が並ぶ。さらにクラウドワークスの利用者は最高で80歳を超える人もいる点も特徴だ。
働き方の変化に対応する2社の取り組み
では、昨今の働き方の変化について、同社はどのような取り組みを行っているのだろうか。ライフネット生命では、2010年3月に「就業不能保険」をスタートした。これは病気などで働くことが難しい場合に給付金を受け取れるというもの。岩瀬社長は「これまでの保険が想定していた世の中とは、既に違う世の中になっている。だからこそ、今の時代に合わせた新しい保険が必要だ」と述べている。
岩瀬社長によると、日本では死亡保険ばかり加入が目立ち、病気やケガで働けないケースがガラ空きになっているとのこと。しかし例えば長期入院になれば、収入が止まるうえに医療費という出費が増える。ましてフリーランスなど個人で働く人であれば、そのリスクは会社員と比較にならない。
この課題に対し、「誰もやっていないから、誰もやらなかったんです」と岩瀬社長はコメント。だからこそライフネット生命は、先陣を切って「就業不能保険」をスタートしたとのこと。当初は医療関係者からの加入が多かったようだが、常に医療現場でそのリスクを目の当たりにしている人々がメリットを感じるということは、やはり私たちにとっても必要性の高い保険なのだといえるだろう。
ただしこの「就業不能保険」、現在は精神疾患を対象外にしている。そこにはモラルリスクという背景があり、本当に精神疾患を患っているかの判断が、実際に医師でも難しい(つまり、健常者がそれらしいことを医師に伝え、疾患の診断を受けてしまうこともある)ことが要因となっているようだ。
これに対しクラウドワークスの吉田社長は、米国と日本の制度の違いを以下のように説明している。
「日本では会社に入社すると、いつの間にか社会保険に加入している。その状態で突然フリーランスになると、いきなり高い保険料の請求が届いて驚く。一方米国ではそうした保険を民間が提供しているので、会社員もフリーランスも、どんな保険に入るかは自己判断。つまり、会社員であろうと独立した存在として社会的に認識されている」
確かに筆者も、事前にある程度知ってはいたものの、いざ独立した当初は「こんなに払うのか」と驚いたのを覚えている。会社員であれば受けられていた恩恵が、独立することで突然なくなる。例えが極端だが、雪国を毛皮を着て生活していたのに、いきなり毛皮をはぎ取られるような状態だ。
この点に問題意識を感じたクラウドワークスでは、福利厚生サービスを提供するベネフィット・ワンと提携。同社サービスを利用することで一定の基準を満たした人を対象に、無料で福利厚生を利用できるサービスの提供を始めている。同社では「仕事」「教育」「保障」を今後の社会における課題として挙げており、働き方の変化に対する不安を一部解消してくれるサービスといえそうだ。
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