阪神の救世主となるか 新監督「鉄人」の知られざる努力と忍耐：赤坂8丁目発 スポーツ246（2/4 ページ）

[臼北信行，ITmedia]

強いタイガースを復活させよう

　やはり金本氏に大きく求められているのは、チームの面々の意識改革であろう。ちなみに就任会見で金本氏は「勝ちながら再建を目指す。それには練習しかない」とも述べていた。「練習」という単語を口にしたところであえて強いアクセントを付けたのは、これから一緒に戦うナインに対するメッセージであったように思えた。これから死に物狂いの練習を重ねて己を鍛え上げ、その個々の力を結集させることによって来季こそは強いタイガースを復活させようじゃないか――。そういう意味合いが含まれていたのではないだろうか。

　昨今のプロ野球界は米メジャーリーグの調整法にならうようになったこともあって、いわゆる「短時間集中方式」で練習時間を短めにするのが主流になってきた。言うまでもなく今の阪神も例外ではない。しかしながら金本は現役時代から、この流れに対して疑問を投げかけていた。

　「短い練習時間でもしっかりと自覚を持ってメニューをこなしているのならば全然いい。でも“ただやらされている”と思って、やっているようなヤツはダメだ。それじゃあ、いつまで経っても巧くなるわけがないんですよ。本当に練習に集中しているヤツはほんの一握り。危機感を持ってやっているヤツは、人の何倍でも身体を動かして汗を流し続けているんです」

　これは、ある広島カープの大物OBが昨年オフに金本氏から直接耳にした言葉だ。その話を同OBから聞いたとき、金本氏の言葉だからこそ非常に大きな説得力を帯びていると思わずにはいられなかった。

金本知憲氏のプロフィール（出典：阪神タイガース