新しいタイプの産業用ロボットは、特に中小企業にとってメリットが大きい。ロボットを導入することで、大手並みに生産力を上げることが可能になるからだ。初期費用はかかるが、効率やコストの部分でも投資をする価値はあるだろう。
加えて、人件費や人手不足といった問題の解消にもつながる。産業用ロボットを導入すれば、安い人件費を求めて海外に工場を建設する必要もなくなる。それに、産業用ロボットは人間のようにムラがなく、ミスも少ない。長時間の作業にも、疲れを見せることはないし、文句を言うこともない。日本をはじめ欧米でロボット需要が高まるのは当然だと言える。
となると、世界的に見れば「世界の工場」として経済成長を遂げてきたお隣の中国はロボットの普及で痛手を負うのではないかと想像できる。だが実は、人件費や人材不足の問題は中国でも同じような状況か、むしろ他の国より深刻だという。経済成長に伴って、より高い賃金を求めて離職する人が後を絶たず、工場で働く労働者の離職率は月に約20%とも言われているからだ。また、平均賃金が毎年15%増ずつ上がり続けている状態でも、人材を確保するのが難しくなってきている。
実のところ、産業用ロボットの稼働数では、中国が世界で第3位(18万2300台)だ。2014年の購入台数は前年比56%増というから驚きだ。このままのペースでいくと、世界第2位の米国(23万7400台)を追い越すのも時間の問題だろう。「世界の工場」の今後は産業ロボットが担うことになる、と言っても過言ではないようだ。
とはいえ、ビジネス的にみれば、産業用ロボットの稼働数が多ければいいという単純な話ではない。国際競争力を上げるには、さまざまな要因がある。税金、法規制、エネルギーコスト、サプライヤーの有無などのインフラも重要になってくるからだ。
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