立場上、平然に振る舞うしかできない私は、中絶を勧める周囲の反対にさからって無謀にも本能で出産することを決めた。帝王切開で産んだわが娘は、たったの1500グラム、自ら母乳を吸う力もない。小さな弱々しい命を胸に抱いて、何とか生まれてきてくれたものの、不安が頭をよぎる。
母親としての責任を果たすために会社を辞めようか。でも、社長としての責任を果たすにはどうしたらいいのか。
考えあぐねた末、私は、両方の責任を果たす方法を考え始めた。育児については、保育園がダメならベビーシッターという方法があることを知った。
「まずは、ベビーシッター探しだ」
そう決めたものの、初めてのシッター探しは難航した。情報が少なかった。料金は高かった。どんな人が来てくれるのか不安だった。たくさんの会社に問い合せ、事情を説明していくうちに、何度も心が折れそうになった。
「いつか、日本ももっとベビーシッターが身近になるような社会にしたい。育児を気軽にプロに頼めるようにしたい」
このときに漠然と抱いた思いは、その後もずっと、頭の片隅を離れなかった。
その後、何とか条件に合うシッターさんを見つけ、家族の協力も得て、育児と仕事の両立体制を作った。
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