世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2016年01月28日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

日本での状況

 では日本での状況はどうなっているのか。

 日本では、1980年代にマイクロビーズを含んだ洗顔料がヒットしたことで“スクラブ”は市民権を得た。そして現在でも、毛穴の汚れを取るといった効果を売りに美容に敏感な人たちの間で人気の商品となっている。近所のドラッグストアやコンビニに行けば、スクラブ商品はすぐに手にはいるほど身近になった。ただ多くの化粧品会社で対策が遅れているという声が出ている。

 実のところ、日本政府はこの問題を認識している。2014年に日本近海でプラスチックについて調査を行っており、環境省はマイクロプラスチック(5ミリ以下のプラスチック片で、マイクロビーズを含む)についてこう説明している。「サイズが5mmを下回ったものをマイクロプラスチックと呼び、これまで数百μmから1mm程度の大きさを持った微細片の浮遊が、世界各地の海域で確認されています。動物プランクトンと同程度の大きさを持ったマイクロプラスチックは、魚類等による誤食を通して容易に生態系に混入するため、その表面に付着した汚染物質の生物体内への輸送媒体になる可能性も指摘されています」

 ちなみに日本周辺はアジア諸国から出るプラスチックごみが集まる海域として知られている。また魚をよく食べる日本人は有害物質を飲み込んだ魚を体内に入れている可能性があるため、政府は早急に問題に取り組む必要がある。

日本政府は早急にマイクロビーズの問題に着手しなければいけない(出典:5GYRES)

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