2つ目の理由ですが、毎月分配型投資信託は、どんなに損をしても配当を出さなくてはならない金融商品です。証券会社が損失補填(ほてん)をしてくれるわけではなく、損は自分が預けているお金で埋め合わせされます。そのため損が続くと、どんどん元金が減っていくというわけです。
また、毎月分配型投資信託でなければ、儲かったらそれを元本に組み込んで大きく再投資していくのですが、この商品は必ず配当金を出さなくてはならないので再投資されにくいのです。
グロソブの場合で言えば、現在1万円につき配当は毎月20円。ということは、1年間で240円ですから、年2.4%の儲けがなくてはいけないということです。確かに、破綻しそうな国の債券ならそのくらいの利回りは出ますが、グロソブが投資しているのは安全な国の債券。当然ながら、利回りは低くなります。安全性が高い国債で運用しても利回りは上がらないので、結局、元金から配当を出すしかないのです。
運用利回りが低いだけでなく、毎月分配型投資信託も投資信託である以上は、一定額の手数料を必ず証券会社などに支払わなくてはなりません。
これが3つ目の理由になりますが、グロソブの場合、運用手数料は1.25%。つまり、年2.4%(1万円で年240円)の配当と合わせて、年間に3.65%以上の運用益を上げなくては原資は目減りしていくことになります。
そういう意味で、毎月分配型投資信託は構造的に原資が減りやすくなっているということです。ところが、投資する人たちには初心者が多いので、このあたりの事情をよく分かっていないのです。
そのため、損をした人が「毎月分配型投資信託の販売が説明義務違反に当たる」として訴訟を起した事例もありました。ですが、しっかり目論見書を読まずに買った人も悪いということで、訴訟は一部認められたものの、全面的には認められなかったようです。
初心者にお勧めといわれる投資信託ですが、はじめる方は売り文句に惑わされず、こうした構造をよく理解した上で行いましょう。
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