セブン-イレブンの鈴木会長が自らドーナツを試食するホントの理由すごい差別化戦略(2/4 ページ)

» 2016年02月24日 06時00分 公開
[大崎孝徳日本実業出版社]

リーダー企業のお決まり戦略「マネをする」

 一般的に、リーダー企業は保守的な戦略を採用しがちです。なぜなら、業界第2〜3位のチャレンジャー企業やフォロワー企業などに比べて、先行するメリットが少ないからです。

 例えば、家電業界では、かつてパナソニック(旧松下電器産業)がソニーの戦略の後を追い、「マネシタ電器」と揶揄(やゆ)されました。自動車業界でも、アメリカでの現地生産、高級ブランドの立ち上げなど、トヨタはホンダを追随していました。

 このように、リーダー企業が先行することが少ないのは、なぜでしょうか?

 スケールメリットとも呼ばれる「規模の経済」は通常、売上高の最も大きなリーダー企業に有利に作用します。そのため、チャレンジャー企業やフォロワー企業がリーダー企業と同質の競争を行っても勝つことは難しくなります。

 その結果、チャレンジャー企業はリーダー企業との差別化を狙い、積極的に新たな取り組みに挑戦していきます。通常、リーダー企業はより豊富な資金や人材、研究開発、生産、営業体制を持っているため、先行されても後から挽回可能であり、リスクの高い新規事業に打って出るメリットは小さいのです。

 また、競合他社による新規事業の取り組みは、リーダー企業にとって、お金のかからない、極めてリアルなマーケティングリサーチとして活用が可能となるという捉え方もできます。

パナソニック(旧松下電器産業)はかつて「マネシタ電器」と揶揄(やゆ)されたことも……(出典:パナソニック)

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