ホワイトカラーも一流にする「トヨタの自工程完結」ノッている会社は、ここまでやっている!(1/7 ページ)

» 2016年03月04日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

 連結売上高27兆2345億円、経常利益2兆8928億円(いずれも2015年3月期)。日本を代表する企業、トヨタ自動車。その圧倒的な企業力は世界に知られるところだが、そんなトヨタが2007年から社内で大きな「取り組み」を押し進めてきたことは、意外に知られていない。端的に言えば、「ホワイトカラーの働き方」改革だ。

 トヨタといえば、「カイゼン」「QCサークル」「トヨタ生産方式」など現場の取り組みがあまりに有名だが、実はスタッフ部門に代表されるホワイトカラーについても、会社方針で新たな取り組みを進めていたのだ。

 私は昨年秋に出版された『現場からオフィスまで全社で展開する トヨタの自工程完結――リーダーになる人の仕事の進め方』(著・佐々木眞一)の書籍制作を編集協力としてお手伝いしたことで、この取り組みについて知った。本には、こんなくだりがある。

 トヨタの現場はすごい、と言われることがあります。技術の高さ、製品の品質の高さを、世界で評価いただくこともあります。しかし、ホワイトカラーについてはどうでしょうか。トヨタのホワイトカラーの仕事がすごいとは、誰も言ってくれません。これでは悔しいと思うのです。トヨタのホワイトカラーはすごいと、やっぱり言われたいと思うのです。

 著者の佐々木氏は、この取り組みを押し進めてきた元副社長。もともとは、品質管理畑を歩んでいたが、自動車の品質を見つめ、改善していくというキャリアを積み重ねていく過程で、仕事というものについて極めて本質的、根源的な問題点に気づくことになる。

 品質とは何かをずっと考えてきました。品質を管理していれば、品質は高まるのかといえば、実はそうではないのです。なぜなら、品質を作っているのは、人だからです。そして、ひどいものを作ろうと思っている人はいないと私は思います。にもかかわらず、なぜ不良は起きるのか。なぜ失敗は起きるのか。それは「仕組み」に問題があるからです。

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