ところが、この主旨に照らし合わせると、JR貨物の新型機関車に関する支援は貨物輸送を維持するためであって、JR東日本に貸し出すという「機関車のアルバイト」はまかりならん、となるのだ。国は国民の財産を運用してJR貨物を支援している。その支援額は最小限であるべき。他社に貸し出す余裕は認められない。
カシオペア廃止は、技術的な問題でも、運用面での問題でもなかった。貨物用の機関車は貨物列車しか使えない、という“タテマエの問題”だったのだ。
JR貨物の機関車を使ってカシオペアが復活する。そこに向けたやり取りは明らかにされていない。しかし、実現に向けたJR東日本、JR北海道、JR貨物の説得があってのことだろう。それはただ1点、「JR貨物の機関車について、運行する貨物列車がない時期に、JR東日本が借り受ける。JR貨物に相応の使用料を支払う。それはJR貨物の支援にもつながり、日本の鉄道貨物輸送の安定化に寄与する」だ。
この1点を突破し、国の担当者が納得した。それに尽きる。交渉担当者レベルから事案を上げて、決済責任者までの説得があってこそ実現した。カシオペアの運行は鉄道会社に利益をもたらすだけではない。国が注力する観光立国、国民の余暇開発、インバウンド支援など広範囲に寄与する。すべての関係者にとって英断だった。高く評価したい。
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