寝台特急「カシオペア」が復活、次は東北・北海道新幹線の高速化だ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)

» 2016年04月08日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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 2006年7月に北海道経済連合会が発表した「北海道新幹線札幌延伸に伴う効果と地域の課題」という調査報告書(関連リンク)によると、東北新幹線・北海道新幹線で最高時速360キロメートルで運転した場合、東京〜新函館(現・新函館北斗)間は3時間12分となり、いわゆる「4時間の壁」をクリアできる。しかも東京〜札幌間も3時間57分だ。

 時速360キロメートルは現在の水準を超えているとはいえ、当時、JR東日本の試験車両「FASTECH 360 S」は、営業運転速度として時速360キロメートルを想定し、2006年6月に最高時速405キロメートルを達成している。時速360キロメートルは実現可能な数字である。ただし、当時は青函トンネルの貨物列車共用による減速問題は取り沙汰されていなかった。そこは割り引いて考える必要はある。

JR東日本の試験車両 新幹線E954形電車(FASTECH 360 S)(出典:Wikipedia) JR東日本の試験車両 新幹線E954形電車(FASTECH 360 S)(出典:Wikipedia

 その後、2014年には、JR東日本が新幹線を時速400キロメートルで走らせるため技術開発を進めていると報じられた。現在のアルミニウム合金より軽いマグネシウム合金製車体を使用し、低騒音台車によって環境基準をクリア、潤滑油、ブレーキなどの基礎研究も進める。2020年代後半に営業車両で時速400キロメートル運転を実現させたい考えだ。

 北海道新幹線は赤字含み。JR北海道の負担は大きい。巨額の費用で作られ、札幌延伸が決まった北海道新幹線を活用するためにも、整備新幹線の時速260キロメートル制限は撤廃したい。国土交通省、JRグループ、関係者の尽力に期待する。

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