年間売り上げ100億円 なぜ売れ続ける「白い恋人」を作れたのか(3/4 ページ)

» 2016年04月26日 08時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

“変わらない安心”がロングセラーのワケ

 白い恋人は誕生してから40年近く経つが、現在でも売り上げは伸び続け、航空会社などが発表するお土産売り上げランキングにおいて常に上位の位置にいる。一体なぜ白い恋人は、これだけ長く支持されるのだろうか。

 その秘密は、“中身を一切変えない”という一点に尽きると同社は説明する。クッキーを取り出しやすいように梱包材を改善するなど、外側の部分での細かい改善はあるが、商品の中身自体は絶対に変えない。

photo 製造部の責任者、柳澤和宏氏

 例えば、一度売れたヒット商品は、期間限定で味を変えるなど、派生商品を出す企業は多い。だが、白い恋人は「ホワイト」「ブラック」を発売して以降、派生商品を一切絶対に出していない。「いつでも変わらない味、品質だからこそ、長年支持されているのです」と同社の製造部の責任者、柳澤和宏氏が語る。

 「派生商品を出せば、一時的には売れるかもしれないが、そういうものはすぐに飽きられてしまいます。そうなったとき、本家の印象まで傷つけてしまいます。派生商品を出すときは、そうしなければ売れないという状況で行う最後の手段です」(柳澤氏)

 常に変わらない「安心感」がロングセラーを生んでいるとして、同社はこれからも絶対にアレンジ商品を出さないそうだ。「お土産を買う人は、渡して失敗しないものを買いたい。だから奇をてらった商品を出すよりも、変わらず安心して買えるものを提供する方がいい」(同)

 また、どんなに売れても道内限定販売を変えないところもポイントだ。プレミアム感を徹底して追求するためだという。「地方にもお土産品の販路を広げたことで失敗した企業をたくさん見てきました。そこでしか買えないというプレミアム感は非常に大切ですので、これからも変えません」(同)

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