オムロンヘルスケアが力を注ぐ「連続血圧測定」とは何か?医療は変わるか?(3/5 ページ)

» 2016年04月26日 07時45分 公開
[大河原克行ITmedia]

慢性リスクから急性リスクを管理できるように

 オムロンヘルスケアが40年以上にわたって行ってきた、家庭で血圧を測るという提案活動は、医療の進化に大きく貢献してきた。そして、今では日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにおいて、診察室血圧と家庭血圧に差がある場合には、家庭血圧を優先することが定められるようになっている。これも、家庭での血圧測定を定着させることで、医療の進化を支援してきた成果の1つだ。

1拍ごとの測定によって、ちょっと息を止めただけでも血圧が上昇することが分かる 1拍ごとの測定によって、ちょっと息を止めただけでも血圧が上昇することが分かる

 オロンヘルスケアが、そうした経験を基に、新たに挑戦するのが、一日に10万回という拍動ごとに異なる血圧の変化を可視化することであり、リスクの高い急激な血圧変動をリアルタイムで捉えるというこれまでにない環境の実現が、より先進的な医療の実現につながると見込んでいる。

 自治医科大学内科学講座循環器内科学部門の苅尾七臣主任教授は、「循環器イベント・トリガーの血圧サージ共振仮説」を示しながら、ここに連続血圧測定技術が活用できると期待する。

 連続血圧測定技術によって、加齢に伴い高血圧になる年齢サージ(異常)、夏場よりも冬場に高血圧になる季節サージ、日曜日よりも仕事が始まる月曜日に血圧が高くなる曜日サージ、就寝中よりも朝方に血圧が上がるという日内サージといったように、時相の異なるサージの共振で生み出されるダイナミックサージが、イベント発症のトリガーを引くことがある。連続血圧測定によって、サージの共振を予測することが可能になれば、これまでの慢性リスクを管理する血圧管理から、イベントを予見する急性リスクの管理へと、循環器医療を飛躍的にイノベーションすることができるのだという。

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