医療用健康機器メーカーのオムロンヘルスケアが、脳・心血管疾患の発症をゼロにする「イベントゼロ」への取り組みを本格化させる。その第一歩として、連続血圧測定技術を世界で初めて開発。2017年を目標に、臨床研究用に血圧計を製品化する。一般市場向けに提供する時期は未定としている。
オムロンヘルスケアの荻野勲社長は、「この血圧計は製品化することが目的ではない。新たな技術を活用することで、連続血圧測定という、これまでにない計測を可能にすることで、医療を変え、イベントゼロへとつなげていきたい」と意気込む。
そして、こうも語る。
「オムロンは、1973年に初の電子血圧計を発売して以来、家庭で血圧を測るという提案を行い、自分の身体を知って、自分で健康を維持するための努力を行えるようにする提案を行ってきた。こうした実績を持つオムロンヘルスケアだからこそ、取り組むことができる挑戦である」
では、オムロンヘルスケアが取り組むイベントゼロとは何か。そこに、連続血圧測定という新たな技術はどう寄与するのだろうか。
イベントゼロとは、脳・心血管疾患の発症(イベント)をなくすために同社が独自に掲げた取り組みだ。
高血圧の重症化に伴う脳卒中や心筋梗塞などの脳・心血管疾患は、依然として高い確率で発症しており、日本における要介護の原因疾患の第1位となっている。その比率は、実に22%と、全体の4分の1近くを占めている。
荻野社長は、「イベントの発生は、患者や家族への負担が大きく、生活の質(QOL)を低下させることにもつながる。そして、医療費の高騰にもつながる」と前置きし、「80歳を超える母に付き添って、病院へリハビリに行った際、40代ぐらいの男性が、イベントによって歩けなくなり、リハビリをしているシーンに出会った。子どもは一生懸命に応援しているが、なかなかうまく動かない男性は、いらいらして、壁を蹴飛ばしたり、涙を流したりしている。そのシーンを見て、そういうことがあってはいけないということを改めて感じた。新たな技術を使って、一歩ずつ、イベントゼロに向けた努力をしていきたい」と力説する。
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