音楽家出身のフリーマンCEOがブルーボトルコーヒーのビジネスで成功した理由「全力疾走」という病(5/6 ページ)

» 2016年05月16日 08時00分 公開
[香川誠ITmedia]

 できないことは誰かが補ってくれる。

 「私が机の前に座ってエクセルの画面を眺めていても、ブルーボトルコーヒーのためにはなりません。いろいろな芸術をインプットしながらどんどん感性を磨いて、それをビジネスに返していく。そうしながら新しいブルーボトルコーヒーを自分自身が作っていくことが大事だと思っています」

より多くの人たちと“シェア”したい

 フリーマンを中心に歩みを進めるブルーボトルコーヒーは、今年は新店舗を次々にオープンさせている。日本でも清澄白河、青山に続く3店舗目が3月末、新宿にオープンしたばかりだ。

オープン初日の新宿カフェにて オープン初日の新宿カフェにて

 「いずれのエリアでもスムーズにオープンしています。社内的な準備も整っているので、今年は店をたくさん出す予定で、来年は出店エリアを広げる可能性もあります」

 現在、サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス、ニューヨーク、東京の4エリアに出店しているブルーボトルコーヒーだが、拡大路線はフリーマンが信条とする小さなことへのこだわり(=顧客体験)に影響はないのだろうか。

 「私の役割は、体験に対する投資を守ることです。お金も大事だけど、常に優先するのは体験です。コストがかかるからといって、お客さまから体験を奪わないことが私の仕事です」

 国や地域によっては、体験に対する人々の感覚も異なるだろう。新しいエリアではそれにどう対応していくのか。

 「ロサンゼルスは温暖なのでホットよりアイスが売れるとか、そういうエリアの違いはありますが、体験そのものがそう変わることはありません。その地域に受け入れられるように我々が合わせていくというよりも、我々が考える店にしていくためにそこで何ができるか、調整をかけていく必要があります。例えば、米国では、日本のように質の高いアイスキューブを業者と開発していくことがそれに当たります。また清澄白河では、スタッフの発案で周辺のガイドマップを作りました。私たちが考えるベストなものを、お客さまに提案、提供できることが大事なのです」

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