あるコンテンツに接しているユーザーがいて、そのユーザーはどのタイミングでどんな心理状況になっていて、次にどんなことをしようとしていて、その予想にコンテンツは応えられるか(もしくは、楽しい裏切りができるか)。そんなユーザー体験を頭の中でシミュレートするノウハウは、ゲームにもプレゼンにも等しく適用できるのです。だからこそ、任天堂社内のプレゼンは面白いのです。
それに比べて、過去の私は自分の伝えたいことに対して説明をしているだけでした。自分が良い、正しいと思うことの理由を、懸命に説明書に書き加える一方で、聞き手の体験についてまったく想像していなかったのです。
このテーマについて、岩田さんが仲介役として実現した糸井重里さん、梅田望夫さん、岩田さんお三方の鼎談(『適切なサイズの問題さえ生まれれば』)の中では、こんな表現がなされています。「適切なサイズの問題さえ定義できれば、その問題はいつか自然と解決される」。問題を見た瞬間「こうすれば良いんだろうな」と思ってしまう。そんな問題は、誰かが勝手に解いてくれる。
この話にはインターネット上のオープンソース開発という背景がありますが、実はもっと広く、ゲームにも適用できる話です。すなわち「適切な難易度の敵さえいれば、その敵をユーザは倒してくれる」。
こうも言い換えられます。すなわち「数百のモンスターも、一度に一匹だけ、時間を置きながら順番に仲間になってくれれば、子どもたちはそのモンスターの名前をすべて憶えてくれる」。例えば、スーパーマリオの最初のゲームステージ「1-1」で一番初めにクリボーを配すること、ポケモンを一匹一匹大切に扱い登場させること。ゲームはすなわち、ユーザーの中に眠っている自主性を掘り出し、ユーザーが自ら体験を生み出すためのツールなのです。
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