岡嶋: 人間は食べ物を食べるときに音だけを感じているわけでありません。例えば、イチゴアイスを食べるときには、味覚、嗅覚、色、音、食感など……さまざまな要素が統合されて、「これはイチゴアイスだ」と認識することができる。この中のひとつでも変わってしまうと、味が変わってしまうケースが多いんですよね。
例えば、ヘッドマウントディスプレイを装着して同じバームクーヘンを食べてもらいました。そのバームクーヘンは画像処理がされていて、ひとつは「しっとり」しているように見えて、もうひとつは「パサパサ」しているように見える。画像の情報を少しいじるだけで、ほとんどの人は「しっとり」しているバームクーヘンのほうを「おいしい」と答えました。
土肥: 同じバームクーヘンなのに?
岡嶋: はい。「やわらかく」見えるモノを食べた人は「これはやわらかないなあ」と感じ、「パサパサ」に見えるモノを食べた人は「これはパサパサしているなあ」と感じているんですよね。食べ物に関して、人は見た目にかなり影響を受けていることが分かってきました。
土肥: まあ、それは仕方がないのかもしれません。シズル感のある写真はおいしそうに感じますからね。
岡嶋: それだけではありません。先ほどの画像処理を使って、寿司のネタを変えてみました。赤身のマグロをトロのような画像を見て食べたもらったところ、多くの人は「おいしかった」「口どけがよかった」「脂がのっていた」といった声が多かったんですよ。
土肥: 安い赤身でも楽しむことができますね。給料日前はいいかも♪
岡嶋: さらに驚く結果がでました。赤身のマグロをサーモンにして、食べてもらったんですよね。すると……。
土肥: ま、まさかのまさか……。
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