なぜ人は「マグロ」を食べても「サーモン」に感じるのか 大学教授が分析水曜インタビュー劇場(パキッ公演)(1/7 ページ)

» 2016年06月08日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
パキシエル、発売3年で売上2.5倍

 森永製菓のアイス「パキシエル」が売れている。2013年に発売して、3年間で売上高を約2.5倍(2013年度比=100%として)に伸ばしているのだ。とはいえ、ガリガリ君やハーゲンダッツといったビッグブランドではないので、「ん? パキシエル? 聞いたこともないし、食べたこともないなあ」という人もいるだろう。

 マルチパックとして発売しているパキシエルの最大の特徴は、先端部分のチョコが分厚いので、歯ごたえを楽しむことができること。チョコでアイスを包む製法によって「厚さ7ミリ」を実現しているのだ。

 前回、森永製菓の担当者(川崎翔太さん、山本愛さん)にパキシエルの開発秘話を聞いた。次に、なぜ売れているのかを聞いたところ、担当者も十分に把握できていなかったので、五感情報工学が専門の岡嶋克典教授(横浜国立大学大学院・環境情報研究院)に協力を依頼し、「やみつきになるワケ」を分析してもらった。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。

パキシエルが瞬間的に割れる度合い

土肥: スーパーやコンビニのアイスコーナーをのぞいてみると、いわゆる定番商品がズラリと並んでいます。ということは、新商品がヒットするのは難しいことになりますよね。厳しい市場の中で、パキシエルは発売してから順調に売り上げを伸ばしていますが、その要因をどのように分析していますか?

森永(川崎さん、山本さん): SNSのコメントに注目しました。パキシエルを食べて「ハマる」「クセになる」といったコメントが多いということは、やみつきになる原因があるのかもしれない。そのような仮説を立てて、大学の教授に「やみつきになる理由」を分析してもらいました。

岡嶋: 「テクスチャーアナライザー」と呼ばれる分析器を使って、パキシエルが瞬間的に割れる度合いを調べました。他の板チョコ(森永ビターチョコレート)と比較したところ、パキシエルの先端部は「パキパキ度」が強くて、一口目の食感はインパクトが強いことが分かりました。

テクスチャーアナライザーを用いた実験
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