長時間労働で精神的につらい人が知っておきたい社会保険活用法マネーの達人(4/5 ページ)

» 2016年10月28日 05時30分 公開
[木村公司マネーの達人]
マネーの達人

退職する前の準備が失業手当の受給を有利にする

 現在の職場が休職できるような環境になく、休養するには仕事を辞めるしかないという人もいるかと思います。

 こうした場合の離職理由は、原則的に「自己都合退職」となります。雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当を受給するときには3カ月の給付制限が付き、すぐに受給することはできません。

 しかし、長時間労働がつらくて退職し、次のいずれかに該当する場合には「特定受給資格者」と認定される可能性があります。認定されれば、3カ月の給付制限はなくなります。

  • 離職する直前の6カ月間のうちに、3カ月連続して45時間を超える時間外労働があった場合
  • 離職する直前の6カ月間のうちに、2〜6カ月平均で月80時間を超える時間外労働があった場合
  • 離職する直前の6カ月間のうちに、ひと月で100時間を超える時間外労働があった場合

 その他、特定受給資格者と認定されると、基本手当の給付期間が自己都合退職より長くなる場合があります。

 また、基本手当の受給資格を得るには、自己都合退職だと雇用保険の被保険者期間が「離職以前の2年間に12カ月以上」は必要になりますが、特定受給資格者であれば「離職以前の1年間に6カ月以上」ですみます。

 このように、特定受給資格者はさまざまな面で優遇されているので簡単には認定してもらえないことがあります。そのため、上記のような時間外労働があったことを、タイムカードのコピーや給与明細などをハローワークに提出して証明する必要があります。

 長時間労働がつらくて退職する予定のある人は、証明できる書類などを事前に準備しておくといいでしょう。

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