合意まで5年を費やした主な理由は、新線として建設する場合の踏切の扱いだった。休止路線であればもっと手続きは簡易だったかもしれない。しかし、廃止してしまった路線の復活は新線建設に当たる。道路法、踏切道改良促進法では、鉄道と道路の平面交差を原則禁止している。認可に当たっては、廃線時に4つあった踏切は3つに減らし、そのうち1つは自動車通行不可とする案でまとまった。
2003年に非電化区間という大ざっぱなくくりで廃止しなければ……。せめて再開の可能性のある区間だけでも廃止ではなく休止にすれば……。新線建設という大変な手続きは不要だったかもしれない。しかし、廃止は現実だ。そこであきらめてしまったら、そのままJR西日本を責め恨み続けるだけだったら、この区間の復活はなかった。
廃止された現実を受け止め、気持ちを切り替えて新線建設に取り組んだ。だから可部線は延伸できた。振り返れば過去の決定は過ちだったかもしれない。しかし、過去の当事者も熟慮の末の判断だった。そこは責めても仕方ない。過去の決定について、責めたり悔やんだりしても現実は変わらない。「今、これからどうするか」を考えよう。
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