値下げで増収? ある第三セクターの緊急対策杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/4 ページ)

» 2017年04月28日 07時15分 公開
[杉山淳一ITmedia]

意外な値下げの理由とは

 「あいの風とやま鉄道」の報道資料によると、値下げになった区間は限定的だ。片道普通運賃で、高岡〜越中大門間の大人運賃が210円から200円に、小児運賃も110円から100円になった。西高岡〜高岡間は小児運賃だけ、110円から100円になった。該当区間の往復運賃は片道の2倍から20円安くなっている。

「あいの風とやま鉄道」の路線略図 「あいの風とやま鉄道」の路線略図

 普通運賃の改定と連動する通勤定期運賃についても、高岡〜越中大門間で大人小児とも値下げの対象となり、90円〜410円の値下がりとなった。通学定期は値下げの対象にならず、西高岡〜高岡間の定期運賃は変わらない。かなり限定的な値下げが行われた。

 その理由は高岡駅にある。「あいの風とやま鉄道」の中間駅の高岡駅に、JR西日本の氷見線と城端線が接続している。JRの路線に直通するきっぷを買うときに割引制度がある。この割引運賃と「あいの風とやま鉄道」線内の運賃のバランスが取れていなかった。

 報道資料では値下げの理由をこう説明している。

JRと連絡運輸を行う区間において乗継割引を適用した結果、一部券種について、当社区間のみを利用した場合の運賃が連絡運輸区間の運賃より高額となる逆転現象が発生しており、この現象を解消するため、同区間のICカード利用範囲拡大に併せ、運賃を改定する。

 簡単に言うと、「あいの風とやま鉄道」の越中大門駅から高岡駅へ行く場合、そのまま高岡までのきっぷを買うと210円だった。しかし、1つ先のJR西日本の駅まで、例えば、越中中川や新高岡まで買うと、乗継割引が適用されて200円になる。遠くまで買った方が安くなる。それを“逆転現象”と説明している。

北陸本線の第三セクター化によって誕生した会社とJR西日本線の関係(出典:並行在来線会社との乗継割引運賃の設定について JR西日本) 北陸本線の第三セクター化によって誕生した会社とJR西日本線の関係(出典:並行在来線会社との乗継割引運賃の設定について JR西日本

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