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» 2017年06月30日 08時00分 UPDATE

赤坂8丁目発 スポーツ246:またか。なぜアントニオ猪木にトラブルが多いのか (2/4)

[臼北信行,ITmedia]

猪木氏の周辺でトラブルが続発

以前から猪木氏の周辺でトラブルが何度も起きている

 それにしても猪木氏の周辺では以前から、このような不穏なトラブルが不思議なほど繰り返し起きている。

 その中でも新日本プロレス時代の1980年代前半、その猪木氏を巡ってぼっ発した「アントン・ハイセル問題」は忌まわしき黒歴史と言えるだろう。この時期、猪木氏は幼少期を過ごしたブラジルでさまざまな事業を展開しており、その一環としてバイオ燃料事業を主軸とする「アントン・ハイセル」社を設立。同社はサトウキビの搾りカスから精製したアルコールをバイオ燃料へと転換する技術開発を目的に事業を始め、他にもタバスコの販売権を得るなど業績を伸ばそうとしたが、結局数年で経営が行き詰った。

 前段階でロクに試験的な精製も行わずに巨大プラント建設を強行したことで、肝心のバイオ燃料精製が実際にはうまくいかず、さらに当時ブラジル国内で頻発していたインフレによって自転車操業を強いられるようになったことが大きな足かせとなった。加えてこのバイオ燃料の精製が実は深刻な公害問題を引き起こすことも発覚し、その解決策を見い出せないまま同社は経営破たんに追い込まれ、多額の負債を背負うハメになった。一説によればその額は16億円にも上ると言われている。

 しかもアントン・ハイセル社を軌道に乗せるため「新日本プロレスの社員や所属レスラー、スポンサー、その他の関係者から借金を重ねていた」との証言もあり、当時新日本プロレスの社長だった猪木氏はこの副業を数多くの“犠牲”のもとに成り立たせようとしていたことが分かる。

 アントン・ハイセルの事業失敗が結果として一枚岩だった新日本プロレスが内部崩壊を招く形につながり、猪木氏はメインイベンター兼創業者という立場でありながらも新日本プロレスの社長を解任させられている。

 前出の16億円ともささやかれる巨額の借金については新日本プロレスと放映権契約を結ぶテレビ朝日が放映権を担保とし、一部を肩代わり。そして当時の有力スポンサーだった佐川急便の会長にも肩代わりしてもらい、その不足分には新日本プロレスの売り上げをつぎ込んで何とか完済した。

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