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» 2017年06月30日 08時00分 UPDATE

赤坂8丁目発 スポーツ246:またか。なぜアントニオ猪木にトラブルが多いのか (3/4)

[臼北信行,ITmedia]

猪木氏を擁護する声も

 人様の手助けを得たとはいえ、これだけ巨額の借金を完済した事実は猪木氏ならではと言えるのかもしれない。それでも新日本プロレスの社内利益を自分の副業の借金に補てんしたことは、やはり経営者として失格と言わざるを得ないだろう。これが後に社内クーデターへとつながり、愛弟子の初代タイガーマスク(佐山聡)や前田日明、高田延彦、長州力ら人気レスラーたちの大量離脱を招いたと指摘する声も少なくない。

 まだある。1976年6月に行われたプロボクシング世界ヘビー級王者のモハメド・アリとの異種格闘技戦は現在も語り草となっているが、ここで猪木側が背負った借金は「10億円」との説もある。プロボクシング界の超大物、アリに支払うギャラが20億円近い超高額だったことが最大の要因だ。だが、この負債も最終的にはテレビ朝日の尽力や当時サポートしていた側近たちの裏交渉なども実り、すべて「ゼロ」になったとみられている。

 それでも猪木氏を古くから知る事情通は、こう擁護する。

 「猪木さんは『金に汚い』と言う人もいるが、そうではなく『無頓着』という批評のほうが正しいと言えるのではないか。ショー的な要素だけでなく“裏”の実力とカリスマ性に加え、破天荒なことをやる発想力と実行力もあるから、あれだけの一流レスラーになった。夢を追い求めようとするが余り、そこにどれだけのカネがかかろうとも『だから、それがどうした』と押し切って突き進んでいく。

 そんなブルドーザーみたいに周りを見ない感じのところもあるから、中には押し潰されてしまう人もいるのは事実。とはいえ、いい意味でも悪い意味でも即決することができる人なのでしょう」

 確かにアリら他の有名格闘家たちとの異種格闘技戦シリーズや“真の世界一を決める”とのうたい文句で提唱したIWGPヘビー級ベルトの創設といった画期的なアイデアを猪木氏は破天荒ともいえる実行力でこれまで数多く実現させ、話題をかっさらってきた。

 最初の参議院議員当選後の90年には湾岸戦争の危機が迫っているイラクで、そして95年には北朝鮮でもそれぞれ『平和の祭典』という名称でプロレス興行も行った。当時、イラクの元首だったサダム・フセイン大統領は、この興行を契機として人質となっていた日本人41人を解放しており、これは素直に猪木氏の功績と言っていい。

 ただ、こうした猪木氏の性格とやり方を批判する別の関係者もいる。

モハメド・アリとの異種格闘技戦で、猪木氏は莫大な借金を抱えたと言われている(出典:『真実』(ゴマブックス)

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