夏の甲子園で起きた"キック疑惑"、騒動を大きくさせたのは誰か赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2017年08月25日 07時44分 公開
[臼北信行ITmedia]
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オトナの事情が絡み合い、こじれにこじれた

 最後に大阪桐蔭の選手たちは敗れ去った試合後、仙台育英の選手たちに「俺たちの分まで頑張ってきてくれ」「優勝してくれ」などといった涙ぐましいエールを送っていたことも補足しておきたい。

 大阪桐蔭の一塁手、中川君も「蹴られた足は痛い」としながらも、くだんの9回の守備機会にベースから足が離れて痛恨のミスを犯したことには「(蹴られたことと)それは関係ないですよ。僕は2年生。この悔しさを胸にまた来年帰ってきます」と涙はなく言い切っていた。戦い終われば、シェイクハンド。周囲の騒がしさとは対照的に、少なくとも当事者たちにわだかまりはまったくなかった。

 そういう爽やかな高校野球の世界で起こった"キック騒動"は複雑なオトナの事情が絡み合い、こじれにこじれてしまった。その結果、本来ならば甲子園ベスト8入りで賞賛されなければいけない将来のある高校生が、まるで有罪が確定した犯罪者のごとく糾弾されてしまった現状があることをあらためて再認識しなければいけない。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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