――そもそもなぜ、退職予測を始めたのでしょうか。
山崎: 単に退職者を減らしたいというわけではありません。「会社に残ってほしい人材」を辞めさせないことが退職予測の狙いです。
これまでも退職者アンケートなどから、退職要因の分析もしていましたが、辞めてほしくない人を辞めさせないためには、“事後報告”から分析するだけなく、前もって対策を打つ必要性を感じていましたので。
――退職者アンケートの内容を分析し、状況を改善していくだけでは不十分なのですか?
山崎: 退職者アンケートから出てくる情報だと、「評価制度に不満がある」「福利厚生を充実させてほしい」「長時間労働を改善してほしい」など、会社全体として改善すべきことが多く挙げられます。
例えば、アンケートに多かった長時間労働時間を改善したら離職率は下がりました。しかしそれでも、辞める人がゼロになるわけではありません。辞めてほしくない人を辞めさせないためには、全社的な施策を打つだけでなく、個人に対してピンポイントに施策を打つことが必要なのです。
もちろん、まずは全社的な課題を解決することが先ですが、その次のフェーズは、個人ごとの課題解決です。そのためにも、まずは個人個人の退職リスクを見える化しようと考えたわけです。
――退職予測を通して、どのような対策を打っていますか?
山崎: 退職確率のデータを各社の人事部や各事業部のマネジメント層に提供をしていますが、退職確率が高い社員に対して、どのような施策を打つかどうは現場に任せています。
また、「退職確率が高い社員の何%が実際に辞めたのか」という検証は数年先にならないと分かりません。ですから、人事情報室から「退職確率が高い社員には、こうしてください」と具体的な指示がまだ出せていないのが現状です。
しかし、データを共有することで、例えば個人面談を設定するきっかけにもなります。マネジメント層が意識してくれるだけでも、大きな違いがあると思います。部下の数が多くなればなるほど、部下を気に掛けることが難しくなりますから。
彼らの力量だけに任せるのではなく、人事情報室からこうしてアラートをかけてあげられる環境は有効だと考えています。
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