――退職予測の他にも、社員が異動先で「活躍」できる確率を分析するプロジェクトも進めているそうですね。
山崎: 人数が増えるにつれて、人事配置の最適化も課題になっていました(グループ全体の従業員数は約3万人)。そこで人事情報室では「社員がどこに異動すると、どのくらいの確率で活躍できるのか」が分かるデータを現場に提供しています。
仕組みは退職予測と似ていて、過去に〇〇部署に異動して活躍した人とどのくらい似ているのかを分析することで確率を出しています。
具体的には各社員の異動履歴から「異動後2年間で評価が上昇した人」を異動の成功と定義して異動成功予測モデル(モデルケース)を構築するほか、現在各部署にいる「ハイパフォーマー(成績優秀者・高評価者など)」を定義し、分析対象者との類似性を分析します。
また、異動履歴や異動後の評価、社員情報のほかにも、「活発性」「コミュニケーション力」といった人の特性を可視化する性格診断のテストの結果も分析に加えています。
これらの分析によって、例えば「AさんがB事業部の営業職で活躍できる確率は〇〇%」「C事業部で活躍できる確率が一番高い社員はDさん」といった具合に、可視化できるようになっています。
既にこの予測データの活用を始めており、分析結果をリスト化したものを、異動決議の権限を持つ現場に提供しています。異動検討の会議などで、このリストを参考にしてもらいながら実際に人事配置を決めてもらっています。
――こちらも効果検証はこれからですね?
山崎: はい。まだ始まったばかりなので。これまでは上司からの評価など定性的な情報だけで異動を決めていたわけですが、客観的なデータが判断材料として追加されたことで、より納得いく形で異動を決めていくことが可能になったのではないかと思っています。
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