「残ってほしい人材を辞めさせない」 人材大手が取り組む「退職予測」HR Tech最前線(5/5 ページ)

» 2017年11月27日 11時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]
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今あるデータだけでも、できることはたくさんある

――今後、予測の精度を高めていくためには何が必要だと考えていますか?

山崎: 今集められているデータだけでも見える化できることはたくさんあると思いますので、既存のデータを生かした分析をより取り入れていきたいと考えています。実際、退職予測も異動成功予測も、もともと導入している人事システムから取得できるデータを組み合わせて分析していますし。

 人事部は欲しいデータがあっても集めにくいという課題があります。例えば、社員からアンケートで情報をとる場合も工数がかかりますし、「社員に時間を使わせてまで、それをやる必要があるの?」と現場に言われてしまいます。ここが人事部のツラいところです。

 しかし、意外と取得できているデータは既にたくさんあるわけです(PCの稼働時間など)。既に転がっているデータをどう生かすかが、重要になってくると思います。

――今後、どのようなツールからどんな情報を分析していく予定ですか?

山崎: 注目しているのは、コミュニケーションツールですね。例えば、社員に時間を使わせてアンケート調査などを実施しなくても、メールなどのコミュニケーションツールを分析することで有効な情報を得られます。

 当社ではまだ取り組んでいませんが、ツール上での会話データから「会話量は多いのか、ポジティブワードをどのくらい使っているか」といった情報を分析することで、社員同士の関係性を見える化することに役立てることができるはずです。上司と部下の相性などが分析できるようになるとも考えています。結果として、活躍できるチーム編成に生かせるかもしれません。

 生産年齢人口はこれからも減少していきますので、人材の確保は困難になっていきます。そうなると、「いかに人を辞めさせないか」が大きな課題になります。

 今までは、現状を知ってから現場を改善していくのが人事の仕事でした。しかし、これからは「リスクを事前に検知する」ことが当たり前になっていくと考えてます。「将来こうなるから、今のうちにこうしよう」みたいな仕事の仕方ができるようになっていくはずです。

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