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» 2017年12月21日 07時31分 公開

中国で話題の「鬼ごっこ」が、世界中に広まるかもしれない世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]

中国政府、監視カメラを増やす計画

 最近、中国の日常に入り込んでいる監視カメラと顔認証テクノロジー、そして監視に使うAI(人工知能)についての実例も多く報じられている。

 広東省深せん(土へんに川)市では、道路で横断歩道のない場所を横切ると、顔認識で注意を受けるシステムを設置している。道路に設置されたスクリーンには横断した人たちの顔が映し出され、「横断者は顔認識テクノロジーで捕えられます」という文字が表示される。常習者は以前の横断で撮影された顔写真とマッチされ、「常習者」と表示される。

 山東省済南(さいなん)市では、信号無視をする人を捕捉する監視システムがあちこちの交差点に設置され、信号無視をした人の顔写真がモニターに映されるだけでなく、住所やIDまでさらされてしまうという。

 顔認証では、こんなサービスも生まれている。深せん市の大手銀行である招商(しょうしょう)銀行は、希望者にクレジットカードなどの代わりに、同行の1000箇所のATMから顔認証で現金が引き出せるサービスを提供している。また別の銀行では、インターネットでのバンキングに顔認証を使っているところも出始めている。

 もちろん、こうした技術は節度を持って使えば価値は高い。事実、中国の警察では犯罪者の摘発に一役買っているそうだ。上海では2017年1月、警察が都市部で顔認識テクノロジーを導入し、最初の3カ月だけで、567人の犯罪容疑者を拘束したという。またイベントごとに会場で導入するケースもあり、例えば山東省青島(ちんたお)市のビールフェスティバルでは22人の指名手配者が捕まっている。福建省厦門(あもい)市では、このテクノロジーで、バスでのスリが30%も減り、江蘇省蘇州(そしゅう)市では500件の事件が解決につながったという。

 こうした実績を見れば、中国が国を挙げて監視カメラの設置にかなり力を入れているのも分かる。そもそも、中国では16歳になると写真入りの身分証を作る必要があるために、当局は全人民の顔写真はすでに所有しており、すぐにそのデータベースが使える。

 現在、中国国内には1億7600万台の監視カメラが設置されていると言われているが、中国政府は20年までにその数を6億2600万台に増やすと意気込んでいる。また顔認証テクノロジーとAIの分野をリードするために政府の基金で研究所を設置したほか、AIの分野については25年までに世界でトップクラスを目指す国家的戦略を17年夏に発表している。

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