――17年に働き方改革を進めた企業で、印象に残っているものは。
新田氏:アート引越センターです。同社は8月、大手引っ越し業者として初めて定休日を設けました。その結果、業績は好調に推移しています。同社は定休日を設けたことで、従業員の満足度や定着率が向上し、労働環境を魅力に感じたドライバーが競合他社から集まってきていると言われています。
休みを増やしたことでサービスレベルが上がり、消費者から選ばれる会社になったアート引越センターは、まさしく働き方改革の成功例。こうした企業が今後も生き残っていくでしょう。
――同じ運輸事業者では、ヤマト運輸の運賃値上げと配送時間帯の変更も話題になりました。
新田氏:ヤマト運輸は情報操作に長けている印象です。「アマゾンジャパン(Amazon.com)の当日配送の影響でドライバーの負担が増している」「このままの体制を続けるのは無理だ」という話を小出しにした上で、値上げなどを発表したからです。
消費者はヤマト運輸が置かれた状況を理解しているので、「それほど大変なら値上げを受け入れる」「ドライバーの働き方が改善されるなら、配送時間帯が減っても仕方ない」という反応を示した人が多く、否定的な人はそれほど多くなかったと記憶しています。
働き方改革によって消費者向けサービスの内容に影響が出そうな企業は、自社が置かれた状況を顧客に理解してもらえるような「情報の出し方」を考えてみてはいかがでしょうか。こうした工夫も、ビジネス界で生き残るためのポイントになってくるでしょう。
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