郊外型家電量販店の“空回り”小売・流通アナリストの視点(5/5 ページ)

» 2018年01月17日 06時30分 公開
[中井彰人ITmedia]
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 家電量販店の場合、ポイントには歴史的に値引きといった意味合いが大きく、本来のポイントとは性格が異なる面があるのも事実だ(これをある意味、明確に改善提示しているのが、ケーズデンキの現金値引きと解釈している)。ただ、これからは他業態と連携して顧客データを共有し、ビッグデータ分析、マーケティング提案の軸となることを目指してはいかがだろう。

 これまで、家電量販をはじめ、小売業はまき餌となる商材で価格訴求し、店に来てもらって、収益商材を買ってもらっていたということを前段で申し上げた。そうした集客商材が失われつつある今、ポイントを広く開放することによって利便性を高めることを撒き餌とする手もあるのではないか。家電製品の性格上、商品での差別化が難しいからこそ、付帯サービスで差別化することは重要だ。

 これまで家電量販店の購買履歴データは利用頻度の低さから、単独のデータとしてはマーケティング分析には難があったはずだ。これが頻度の高いデータとつなげられれば、ビッグデータとしての価値は飛躍的に向上するはずだ。

 ポイントはグループ内消費してもらうことで、収益に寄与していたはずだ、というご意見はあるだろう。値引きしただけだと減益効果しかないが、値引き分をポイントにして商品を買ってもらえば、商品の粗利益分は取り返せるからだ。ただ、ポイントに関しても、損して、得とる方向へ向かうべきだと思うのである。新たなまき餌だと考えれば、検討の余地があるはずだ。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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