「社畜」という言葉が世間に広まり始めてから30年くらいになる。作家、安土敏氏の作品で登場した言葉を評論家の佐高信氏が広めたという説が有力だ。
企業に飼いならされ、思考停止し、良心を放棄して家畜のような状態と化した会社員を揶揄(やゆ)した表現だった。この言葉が流行した当時、私は10代後半だったが、オピニオン誌などで彼の論考を読むたびに、この社畜という言葉を目にしたものだった。
しかし、いま思うと当時の社畜には「ぜいたく」とも言える点があった。それは「にんじん」「あめ玉」がぶら下がっていたからだ。正社員を前提とした議論であり、雇用は約束される上、社宅や社員食堂、保養所などの福利厚生も充実していた。会社が用意するあめ玉も含めて、飼いならされた状態を社畜と呼んでいた。
社畜を飼育するための小屋や餌を企業が用意していた時代だった。「飼いならす」と言うからには、飼う環境が用意されていたのである。それは「報われる社畜」だった。
このような、小屋や餌付きの社畜はいまだに大企業を中心に散見される。ただ、今日の社畜の多くは小屋も餌もない、放し飼い状態の社畜だ。さらには、長生きさせるつもりがない飼い主だっている。
一方で「ポジティブ社畜」だっている。忙しく働いている自分に酔っていて、やや自虐的に、かつ誇りを持って社畜を自称している。楽しく働かされているタイプだ。残業中にエナジードリンクの写真をSNSにアップする輩などがそうだ。
ここで、これまで私が遭遇した社畜たちの武勇伝(社畜あるある)を列挙しよう。
こんな奴、本当にいるのかと思うだろ? いたんだよ、実際に。痛々しいレベルだ。逆に言うと、こいつらもスゴイが、ここまで彼らを手なずける会社もなかなかスゴい。
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