乗り合いタクシーとローカル鉄道は共存できるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)

» 2018年01月26日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

「便利」の次に「楽しい」乗り合いタクシーが来る

 東京都町田市の乗り合いタクシーの実験は、2月1日から3月30日まで。平日のみの運行で、予約は不要。つまり、単純に路線バスをセダン型タクシーに置き換えただけだ。料金は200円均一。運行ルートはJR横浜線の相原駅から丸山団地まで。乗り切れなかった場合は迅速に続行便を出すという。輸送量の調整も容易である。

 この実験は、乗客が少なかったら廃止、とはならないだろう。客が乗らない、あるいは時期に左右されるなら、田舎のようにオンデマンド型を整備すればいいだけだ。乗客が増えて渋滞するということなら、ミニ版タイプ、ミニバスタイプの導入で足りる。

photo 東京都町田市が実施する乗り合いタクシーのルート(出典:東京都町田市 あいはらシャトル丸山団地号運行経路図

 沖縄では乗り合いタクシーによる観光ツアーの実証実験が始まった。これはツアー客が個々にタクシーを使うと渋滞するため、コースと乗客を1台のタクシーに集約しようという試みだ。レンタカーで行くようなところに、運転が不安な人も行けるというメリットもある。沖縄を訪れる人は飛行機でやってくる。自分のクルマで乗り付ける人はいない。

 大都市から沖縄にきた観光客のほとんどは、公共交通を使いこなす人で、クルマなしでなんとかなってきた人々だ。いや、レンタカーが前提となるならば、運転経験のある人が多く、いままで、クルマに縁がなかった人は、沖縄旅行そのものをちゅうちょしていたかもしれない。観光乗り合いタクシーは、公共交通中心で行動していた大都市の人々こそ活用すべき乗りものだ。ただし、この事例は観光バスの乗用車版の域を出ない。

 デマンド型乗り合いタクシーは、やはり地域に住んでいる方の乗りものであって、遠方から訪れる観光客にとっては使いにくい。ただし、その不便さは、IT技術を使えば解決できるかもしれない。スマートフォンで路線や時刻を確認でき、予約もできれば解決する。

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