2017年12月。日本列島を厳しい寒さが襲ったため、全国の家電量販店では暖房器具が例年以上に売れている。
そんななか、特に好調だったのが寒冷地仕様のエアコンだ。GfKジャパンの調べでは、前年比の販売数でみると、10月は18%増、11月は8%増、12月に至っては40%増となった。これは、エアコン全体を大きく上回る数字だ。
寒冷地の定義はさまざまだが、少なくとも北海道や東北が含まれることがほとんどだ。この地域の暖房の定番となるのは石油ストーブやガスストーブだが、そもそも寒冷地仕様のエアコンとは何か? どうして売れ行きが伸びているのか? メーカーに聞いてみた。
寒冷地仕様エアコン「DXシリーズ」などを製造するダイキン工業によると、通常のエアコンとの違いは室外機にあるという。
1点目は、霜がついたり凍結したりといったことを防ぐためのヒーターが付いていること。2点目はエアコンの運転が止まっていても、室外機のファンだけは回り続けて着雪を防ぐこと。こういった機能のおかげで、マイナス25度の環境下でも室内を暖め続けることができる。寒冷地仕様でないものは、マイナス25度以下になると能力が十分に発揮できないことがある。
ダイキン工業の担当者によると、「DXシリーズ」などの寒冷地仕様エアコンはここ数年出荷台数が伸び続けているという。北海道を中心に東北や北陸などで売れている。
理由はいくつかある。同社担当者は「光熱費でみたときに、石油ストーブやガスストーブより経済的だと判断する消費者が増えているようだ」と解説する。また、エアコンの性能が年々上昇していることや、断熱性に優れた住宅が増えた結果「エアコンでも十分に部屋が暖かくなる」と考える消費者が増えているのではないかとも分析する。
エアコンならではの利点もある。給油の手間が省ける、細かい温度調整ができる、空気を汚さない、部屋のスペースをとらない、子どもがやけどする心配がないといった点も支持された理由だろう。
さらに、GfKジャパンによると、北海道や東北で夏場にエアコンを購入する消費者が増えているという。温暖化の影響や、夏場の脱水症予防のためにエアコンを積極利用するようとの啓もう活動の結果、エアコンを購入しようと考える。せっかくエアコンを買うのだから、冬も使える寒冷地仕様のものを購入しようというニーズが存在するのだろう。
今後、石油ストーブやガスストーブの強力なライバルとして、寒冷地仕様のエアコンが台頭してきそうだ。
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