なぜこんなことに? 平昌五輪、運営側の問題赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2018年02月16日 07時46分 公開
[臼北信行ITmedia]

メダリストに対する冒涜

 平昌メディアプレスセンターから各競技場へのメディアシャトルバスもない。取材記者は時に途中で乗り換えながら各会場へ向かわなければならず、相当なストレスをため込んでいる。大会組織委員会側としてはメディア各社に今回の五輪冬季開催を大々的に報じてもらうことで、国際社会に韓国のことをもっとアピールしてほしいという思いもあるに違いない。

 それならば、なおさら会場までの直通バスくらいは用意しておかなければならなかったはずだ。海外メディアのある人はこのように言っていた。「韓国側は国内で冬季五輪を開催したことだけで満足し切っているのではないか。だから余分なお金をかけたくなかったのかもしれない」と。

 大会前の開幕リハーサルでも同じようなことが起きていた。予定通りにバスが来なかったので、五輪のボランティアスタッフたちが極寒のなかで1時間以上も待たされることに。多くのスタッフは怒りを募らせ、ボイコット騒動を引き起こしているのだ。その余波なのか、大会期間中のボランティアが不足していて、英語を満足に話せる人も少ない。平昌五輪はどこにベクトルが向けられているのか、甚だ疑問である。

 メダルの表彰式が終了した後、各国のメダリストを取材できるミックスゾーンでも信じられないことが起きている。ミックスゾーンが吹きっさらしの場所に設置されているので、メダリを手にした選手たちは氷点下の冷たい外気にさいなまれながら、長時間、取材を受けなければならないのだ。

 これまでの冬季五輪は、冷え切った選手の体を温めることができる暖房の効いたところにミックスゾーンが設けられてきた。スピードスケートの高木美帆やスキージャンプ女子の高梨沙羅らメダリストたちが極寒と強風に耐え忍びながら、取材を受けている姿は何だか気の毒に思えた。これではまるで勝者に「罰ゲーム」を受けさせているような仕打ちでメダリストに対する冒涜(ぼうとく)だ。

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