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仮想通貨でアスリート育成? “資本の論理”に縛られない「ICO」の可能性とは「利益は上げなくていい」(3/3 ページ)

» 2018年02月28日 11時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]
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ICOは「過渡期」にある

――なるほど。既存の資金調達の手法では作れなかった仕組みを構築できる可能性を秘めているわけですね。

松田: 「もうけよう」「株式上場を目指そう」という理由で事業をつくるなら、既存の資金調達の手法で十分だと思います。そうではなく、「社会にとって必要だからこの事業をつくる」といった収益の枠組を超えた思想に向いているということです。

 そもそもビジネスは社会資本の推進活動。たまたま資本主義のというルールの中で会社は利益を出さなければならなかっただけで、本質的には「世の中にどういう価値を提供するか」をみんな考えたいわけですよね。「利益を上げなきゃ」と考える前に、「社会のためにやりたかったことってなんだっけ」っと“そもそも論”に立ち返るきっかけになるかもしれません。

 例えば、先ほども例に挙げましたが、ウィキペディアも事業の収益性ではなく「社会のために」という思いで立ち上がった事業です。こうした事業こそICOをするべきなのだと思います。

――しかし、まだまだICOは詐欺も多く、出資を受ける側もする側も「金もうけ」を軸に物事が進んでいます。

松田: 過渡期ですからね。インターネットの黎明期と一緒で、過渡期にはいろいろな課題が出てきますし、「うさんくさい」「危険なもの」と捉えられることが多いです。実際、プロジェクトの実態がないのに資金を集めて姿を消すなど、「ICO詐欺」が横行しています。もちろん、これから投資家を守るための法律が整備されていくことで、詐欺などに合うリスクは軽減されていくはずです。

 また、ICOがこれから社会にどのような変革をもたらすのか、まだまだピンときていない人の方が多いです。しかし、これまで述べてきたように、ICOは利益を上げるという資本の論理に縛られません。資本主義の世界では実現できなかった新たな事業が次々と生まれていく可能性は大いにあるでしょう。

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