日本ハム本拠地移転、JR北海道はチャンスを生かせるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/4 ページ)

» 2018年03月30日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 思わぬところから鉄道新駅の話題が出た。JR北海道・千歳線の北広島駅から札幌方向へ約2キロ。札幌駅から約20キロの地点だ。ここに北海道日本ハムファイターズの本拠地が移転すると内定した。

北広島駅と札幌駅、千歳空港、ボールパーク新駅の位置(国土地理院地図を加工) 北広島駅と札幌駅、千歳空港、ボールパーク新駅の位置(国土地理院地図を加工)

 北広島市が「きたひろしま総合運動公園」を再整備し、野球スタジアムを中核施設とした「ボールパーク」を建設するという。この構想の中に、新駅の誘致が含まれていた。新駅関連の話題だからもっと早くから認知しておくべきだった。しかし、私のプロ野球の興味は巨人軍V9時代で終わっていたため、情報収集の視野になかった。

 北広島市が2016年12月20日に球団に提出した提案書(関連リンク)によると、スタジアムの周囲にショッピングモール、ホテル、サブ球場、キャンプ場、広大な芝生広場を2カ所、人工池、ゴーカートコースなどを擁する。構想図には「ジップライン」という乗りものがあって、これはワイヤーを張って滑車で滑り降りるというアトラクションだそうだ。この構想通りに建設されると決まったわけではないけれど、これなら野球に関心のない私も行ってみたくなる。

北広島市が16年12月20日に球団に提出した提案書の構想イラスト(出典:北広島市) 北広島市が16年12月20日に球団に提出した提案書の構想イラスト(出典:北広島市

 スタジアムだけでも1試合につき最大3万人規模の集客がある。そればかりか、ホテル、ショッピングモール、レジャー施設もある。JR千歳線は札幌駅と新千歳空港を結び、新千歳空港は空港ターミナルビル直下だ。従って、野球の試合がない時期でも、空港アクセスに優れたホテルとショッピングモールになる。それが線路のすぐそばだ。たいていの鉄道事業者なら「ぜひ駅を作らせてください」と北広島市長にお願いに行くところだ。

 しかし、JR北海道社長は素直に喜べないらしい。空気を読めないにもほどがある。

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