――ほかに注意が必要な文言があれば教えてください。
新田氏: 全ての企業に当てはまるわけではありませんが、募集要項で抽象的な文言や横文字を多用している会社はあやしいです。
例えば、「顧客サポート」はコールセンターのクレーム対応、「コンサルティング・マーケティング」は新規開拓営業、「アミューズメント」はゲームセンターやパチンコ業――などを指しているケースがみられます。不人気な職種のため、うまく言い換えることで実態をぼかしているのです。
――こうした企業にもし興味を持った場合、面接で「なぜ若手中心なのですか」「実際の業務は何なのですか」などと逆質問することはタブーなのでしょうか
新田氏: タブーではありません。一部のマニュアル本などには「踏み込んだ逆質問をすると落ちる」と書いてありますが、私はそうではないと考えます。企業に“忖度(そんたく)”することなく、気になる点はどんどん質問すべきです。後ろめたい点がない会社は自信を持って回答するはずです。
一方、都合が悪い会社は回答を濁すか、「君はやる気がないのか?」などと反論するでしょう。この時の対応こそがブラック企業を見極めるポイントなのです。
――お勧めの質問はありますか?
新田氏: 長時間労働で体調・メンタルにダメージを受けるのを避けたければ、残業時間を聞くことは不可欠です。ですが、単に「残業時間はどれくらいですか?」と聞いても実態はつかみづらいです。志望する部署の残業時間について、「繁忙月で最も残業が多かった社員と、少なかった社員の残業時間はそれぞれ何時間でしたか」と聞くと、実態を把握しやすいでしょう。
「若手中心の会社」「若手が活躍できる」との説明があった場合は、「若手社員はどんなポジションについて、どんな仕事をしていますか」「実際に若手社員で重要な仕事を任された事例を、直近1年間分全て教えてほしい」といったレベルまで突っ込んで質問するといいでしょう。
「やる気」「頑張り」を評価するとうたう企業には、どのような研修制度・評価制度・人事制度があるかを必ず聞きましょう。異動の有無や頻度についても触れるとよいです。
――なぜ、評価制度や異動についても聞く必要があるのですか。
新田氏: メンタル不調者が出やすい企業では、残業をしている人を「やる気がある」とみなし、効率よく業務を処理して早く帰る人を評価しないケースがみられます。「やる気」「根性」といったあいまいな要素ではなく、結果を評価してもらえるかを聞くことで、企業の体質が分かるはずです。
離職率が高い企業は、段階的な教育方法が整っておらず、「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」と称して若手をいきなり現場に放り込み、環境が合わず結果が出せなくても「根性を見せろ」と留めておく場合が多いです。
人材育成に注力している企業であれば、「適材適所」の考えのもと、正しい部署に再配置してくれるはずなので、異動についても聞くべきと考えます。
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