お店のミライ

なぜSUBARUは米国で伸びたのか マーケティング戦略の“真意”キーワードは「LOVE」(2/3 ページ)

» 2018年04月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「地域とのつながり」で共感を得る

photo 米ニュージャージー州にあるスバルディーラー「WORLD SUBARU」
photo 「WORLD SUBARU」のジョー・ヴァイダ氏

 スバルディーラーは全米に631店舗ある。訪れたのは、年間1600台を販売するニュージャージー州の店舗「WORLD SUBARU(ワールドスバル)」だ。この店舗を運営する自動車ディーラーチェーン、プライムオートモーティブのジョー・ヴァイダ氏は、「店との関係を、単なる取引関係ではなく、それ以上のものに感じてもらうことが重要」と説明する。

 そのための取り組みの一環として、地域コミュニティーとつながる活動を実施している。チャリティーやボランティアなどに積極的に参加しているという。例えば、小児がん患者に対するチャリティー活動では、SOAが主導する活動(新車購入1台につき250ドルを寄付)に加えて、店舗独自でも寄付金を用意。合わせて25万ドル(約2700万円)を寄付した。

 寄付文化が根付く米国では、チャリティーに力を入れることが地域との関係を深めることにつながる。その姿勢に共感する顧客も多いようだ。ヴァイダ氏はこの取り組みについて、「単なる店から、もう一歩上の存在になる」ためのものだと話している。

photo 「WORLD SUBARU」の店舗内
photo 店舗には、バッジを郵送で注文できる案内があった

 顧客との関係を深める取り組みには、愛車を通じて趣味などを主張してもらうツールもある。車に貼るバッジを無料で配布する「バッジ・オブ・オーナーシップ」という取り組みだ。SOAが10年から実施している。

 バッジは、スバル車に何台乗ってきたかを示す数字と、趣味やライフスタイルなどを示すピクトグラム。車のリアに貼ることができる。ワールドスバルの駐車場でも、実際にバッジを貼っている車があった。

 バッジは「Baseball」「Snow Sports」「Cooking」など、スポーツや趣味を示すものや、「Family」「Love」「Education」など、ライフスタイルや大切なものを示す絵柄もある。専用サイトを見たところ、現在53種類のバッジがあるようだ。

photo 店舗の駐車場にバッジを貼った車があった。このオーナーにとって2代目のスバル車で、ヨガや料理、教育に関心があるようだ

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