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» 2018年05月25日 08時00分 公開

登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

[臼北信行,ITmedia]
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背景に何があったのか。検証すべし

 今回の死に至る悲運の結末を招いた「単独無酸素・エベレスト南西壁ルート」への挑戦も大手の某インターネットテレビ局で山頂アタックの瞬間が配信されることが決まっていた。だが、これまでも有名登山家から「市民ランナー」と称されていた人が自分の実力を測り切れていないうちに周囲から持ち上げられ続けて「大丈夫だから、君ならばやれるよ」と背中を押されれば、どうなるか――。

 たとえ本人がハッと我に返って「いや、やっぱり難しい」と思っても決して口にすることはできず、これだけ周囲が莫大なカネを集めて壮大な企画を立てて動き始めてしまった以上、後戻りは許されない八方塞の状況になってしまっていたような気がしてならない。個人的には、やはり周囲が「栗城さん推し」を止め、ストップをかけるべきだったと思う。

 栗城さんは、心配する親しい人に「自分には登山しかない」と語っていたとも聞く。心境的に追い詰められていたとすれば切ないし、とても悲しい。史上初の「単独・無酸素エベレスト南西壁ルート」への登頂――。無理矢理な感も漂う周囲の後押しによって「無謀」と言われる、この“挑戦企画”が打ち立てられた結果、栗城さんは崖っぷちに立たされた挙句に最後は突き落とされてしまったような気がしてならない。

 生前の栗城さんが多くの人に勇気を与えた功績は事実として残る。しかし彼の死を無駄にしないためにも、このエベレストでの遭難を美化するのではなく背景に何があったのかをしっかりと検証することが求められる。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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