日本の組織には、「権限」や「役職」は与えられてはいる者は掃いて捨てるほどいるが、そのなかで自分の発言や行動に「責任」を持てる者などほとんどいない。ないものを連れてこい、と言われることほど困ることはないではないか。
責任者を出せ――。このお約束の文句がここまで社会に普及したのは、実は日本人のほとんどが、「日本人のなかで“オレが責任をとる”と胸を張って言えるのは超少数」という事実を無意識で認めているとしか思えない。
いずれにせよ、今回の問題によって「オレはそんなこと言っていないおじさん」はさらに生きにくい世の中になった。
20歳の若者だって、あれだけしっかりとした態度で「言ったのはお前らだ」と反論ができた。彼の姿に勇気をもらった組織人も多いはずだ。
「オレはそんなこと言っていないおじさん」が肩で風をきって歩ける組織というのは、日大のように新陳代謝のない閉鎖的なムラ社会が多い。
そうなると思い浮かぶのはスポーツ、公務員、教育現場、そしてマスコミあたりか。
このあたりの業界で内田前監督や米倉顧問を彷彿させる強烈なキャラクターが登場して、新たなヒールとしてマスコミをにぎわす日もそう遠くなさそうだ。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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