このようなどこの会社、どこの組織、そしてどこのコミュニティーにもひとりはいるであろう「オレはそんなこと言っていないおじさん」に対して不満や怒りを感じる人は多い。そんななかで、20歳の若者が強要されたという「反則命令」を全力否定で逃げ切ろうとするおじさんたちが連日のように報じられば、日頃のフラストレーションを彼らにぶつけるのも当然である。
実はこれこそが、日大にもアメフトにも危機管理にもそこまでたいして関心の薄い一般人が、ここまで本件に熱い視線を送っている理由なのではないか――。
そう感じざるを得ないのは、これまで日本社会が容認してきた「オレはそんなこと言っていないおじさん」に対する風当たりがここのところ非常に強くなっているからだ。
例えば少し前、同じスポーツ界で、女子レスリング代表の栄和人前監督がパワハラ発言をしたとして告発されたことが記憶に新しい。監督ご本人はすぐさま否定し、レスリング協会もあり得ないと猛反発したが、被害者である伊調馨選手やコーチがパワハラの状況をこと細かに証言したことで、内田前監督のように心身が追い込まれ、入院してしまった。
このようなノックアウト劇は、他の世界でも目立ってきている。
代表的なのは、テレビ朝日の女性記者からセクハラを告発された財務事務次官だ。ご本人はそんなエロトークはホステスかキャバ嬢としかしないと突っぱねたが、録音されたデータには生々しいやりとりが残っていて、次官の座を失い減給処分にまでなったのはご存じのとおりだ。
経済界も同様だ。日本を代表する企業、東芝では、経営陣が「チャレンジ」という美辞麗句のもとに、部下に粉飾をけしかけて大きな問題となった。追いつめられた現場が利益のかさ上げをしたことがバレて大問題になると、経営陣はこんな言い訳をしている。
「オレは『がんばれ』と言っただけで、不正をやれとは言っていない」
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