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» 2018年06月01日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:JR西日本「山陰キャンペーン」で知る、JRグループの課題 (5/6)

[杉山淳一,ITmedia]

JR西日本にとって山陰本線は長大な財産

 山陰本線は京都から日本海沿岸を通って山口県の幡生に至る。総延長は673.8キロもあり、JR在来線としては最長距離で、しかも全区間がJR西日本エリアだ。西へ行くほど閑散区間となり、運行本数も減り、赤字であろうことは想像に難くない。

 しかし、長距離路線は財産だ。山陰地方は人口が少ないけれども、観光資源は多い。西寄りの東萩〜下関〜新下関で運行する「○○のはなし」や、山陰本線を全区間走り切る「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」も人気だ。新メンバーの「あめつち」も山陰本線の魅力を伝える。山陰本線はまだまだ開拓の余地がある。

 鉄道路線の存続理由は2つだけだ。「便利か」「面白いか」。両方を兼ね備えればいいけれど、どちらか1つで勝負しなくてはいけない。地域の人々が「便利」に使ってもらえない路線は「面白くする」が生き残る方法になる。どちらの要素もなければ残す意味がない。

 山陽本線と結ぶ路線として、山口線にはSLやまぐち号があり、木次線には奥出雲おろち号がある。神戸〜下関の528.1キロの山陽本線と組み合わせると、魅力的な鉄道回遊ルートがいくつもできる。それだけに三江線の廃止は残念だったけれども、これはもう語っても仕方ない。いや、廃線利用で新たな魅力を発信できれば、沿線地域にはまだチャンスはある。

 JR西日本がこれだけユニークな列車を運行できる理由は、キャンペーン地域が全て自社線内だからだ。他社との連絡、調整がほとんど必要ない。あとはいかに面白くするか、にかかっている。鉄道ファンとしては、往年の最長距離客車普通列車「824列車」を再現して、門司〜福知山間の山陰本線各駅停車を走らせてほしいけれど、これはJR西日本というより、日本旅行に期待した方がいいかもしれない。

photo 「SLやまぐち号」は山陽方面から山陰へのアクセスルートになる
photo 宍道から中国山地へ向かう「奥出雲おろち号」

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