インタビュー
» 2018年06月19日 06時30分 公開

いつまでも働き続けたい:ファンケルの「アクティブシニア社員」は会社に何をもたらすのか? (3/4)

[やつづかえり,ITmedia]

必ずしも正社員と同じ働き方を続けたいわけではない

 桧山さんの場合、ちょうど65歳を迎えるタイミングでアクティブシニア社員の制度ができた。それを知らされるまでは、いよいよ仕事から離れる心づもりでいたという。

 「これまでは朝から晩までずっと会社勤めだったので、地域とのかかわりも少なかったんです。それではいけないと思って、1〜2年前から町内会の役を引き受けたりするようになりました。あとは、仕事を離れたら何かボランティアでもしてお役に立てれば、と考えていました」(桧山さん)

 アクティブシニア社員の話を聞いたときは迷ったものの、「家に入ったらボケるよ」という同僚からの辛口なアドバイスもあって働き続けることを決意した。ただ、「年齢とともに体力も判断力も落ちていく。皆についていけるか、役に立てるのか」という不安はあるという。

ファンケル 執行役員 人事部長の永坂順二さん ファンケル 執行役員 人事部長の永坂順二さん

 アクティブシニア社員制度を推進する人事部長の永坂順二さんによると、ある程度の年齢に達した社員は少なからずこういう不安を持っているようだ。

 同社がアクティブシニア社員の制度を導入したのは、10〜20年後には社員の平均年齢が上がり、かつ人手不足が顕在化してくることを見据え、60代以上の人たちと一緒に働くことに会社全体が慣れていかなければいけない、という問題意識があったからだという。

 その解決方法として、定年年齢そのものを引き上げ、または撤廃し、60歳を過ぎた後も正社員として働き続けられるようにするという選択肢もあった。しかし、社員にアンケートをとったところ、44歳くらいまでの社員では半数ほどが「働ける限り、いつまでも正社員として働きたい」と回答したが、45〜60歳の社員の多くは「ずっと正社員と同じようには働けない。65歳くらいで一区切りつけたい」と回答したという。

 「今やっている仕事のボリュームを、65歳以降もそのままやっていくのは難しい、と考える人が多かったのです。でも『働きたい』という意思はある。例えば、週3〜4日とか、1日5〜6時間に減らして、自分がやってきたことを若い人に伝えたり、育成することに時間を使ったり、という意見が多くありました」(永坂さん)

 こういった社員の意見を取り入れて、本人と会社の合意があれば週1日勤務でもよい、という柔軟な働き方を可能にするアクティブシニア社員の制度がスタートしたのだ。なお、対象者には60歳定年で嘱託社員として働いていた人のほか、契約社員やパート社員で65歳に達した人も含まれる。2018年1月には契約社員とパート社員の全員を無期労働契約へ切り替えるという施策も実施しており、同社が全従業員に対してできるだけ長く働くことを期待していることが分かる。

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